一部メディアは「マイナー140発」のキャリア、昨夏の東京五輪でドミニカ共和国代表として活躍したことなどを指して、「カリブの大砲」「長距離砲」と伝えていた。
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しかし、東京五輪に関わったNPB関係者たちは違う見方をしていた。
「ミエセスの返球、今でも覚えていますよ。と言うか、思い出したくもない」
「思い出したくもないシーン」とは、2021年7月28日の対ドミニカ共和国代表戦でのこと。1点ビハインドで迎えた8回裏、一死二塁の場面で3番・吉田正尚がレフト前ヒットを放った。三塁コーチャーは「本塁突入」を二塁走者に指示。だが、レフトからダイレクト送球され、本塁タッチアウトに…。
そのダイレクト送球で強肩ぶりを披露したのが、ミエセスなのだ。
「二塁走者はヤクルトの山田哲人ですよ。足はむしろ速い方。好スタートを切った山田を、前進守備ではなく、定位置で捕球してアウトにしたんです」(前出・NPB関係者)
試合は9回裏に逆転し、サヨナラ勝ちを収めたが、「ミエセスの返球」は侍ジャパンに強いインパクトを残した。
「岡田彰布監督は『右打ちの外野手がほしい、大砲タイプの』と言ってきましたが、守備でアテにできない選手はいらないと、強く指示していました」(在阪メディア)
“原巨人の失敗”があったからだろう。打撃優先で外国人選手を選んだため、今季の巨人のレフト、ライトは完全にナメられ、余計な失点を重ねた。
広い甲子園球場が本拠地である以上、助っ人が守備難では困るのだ。
巨人絡みと言えば、もう一つ。岡田監督の強い希望で入閣した嶋田宗彦バッテリーコーチが巨人戦のキーマンになりそうだ。嶋田コーチは背広組からの現場復帰だが、去年と今年は「巨人専属のスコアラー」を務めてきた。
「嶋田コーチが巨人担当になった2021年、14年ぶりに巨人戦で勝ち越しました」(前出・同)
リーグ優勝した05年も、岡田監督のもとでバッテリーコーチを務めている。当時を知る関係者によれば、「嶋田コーチはカウント別に打たれたヒットの方向を覚えていて、そこから相手陣営の作戦や、バッターのクセ、狙い球を分析していく」という。
2年続けて手の内を読まれたスコアラーが岡田監督の参謀役を務める。巨人サイドからすれば、それだけでブキミさを感じているはずだ。
獲得間近となったミエセスについて、こんな情報も聞かれた。
「岡田監督は大山悠輔を一塁で、佐藤輝明を三塁で固定するつもりですが、打順に関しては全くの白紙。1番の近本光司、2番の中野拓夢がともに左打ちなので、佐藤を3番にしたら、左バッターが3人続きます。ミエセスが3番を打てたら理想的なんですが」(前出・在阪メディア)
巨人戦に勝つと、阪神は勢いづく。“3年連続での宿敵叩き”の布陣は整いつつあるようだ。(スポーツライター・飯山満)