急性アルコール中毒など重大な事故を引き起こす危険性があるため、医師などがイッキ飲みの禁止の重要性を強く訴え、その努力が実り令和に入った現在は見かける機会が少なくなった。
そんなイッキ飲みだが、平成の初期には既に危険だとの認識が一部で広まっており、1992(平成4)年にはあるテレビコマーシャルが放送中止となっている。
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当時JRグループは、3日間JRの鉄道全線が乗り放題になる特別乗車券「ナイスミディパス」を販売していた。
1992年6月に放送されたナイスミディパスのCMは桜田淳子、中井貴惠(当時中井貴恵)、宮崎美子(当時宮崎淑子)の3人が旅をする内容。好評で数パターンが制作された。
問題となったCMでは、3人が宿に着き、桜田と宮崎が中井に「イッキ!イッキ」と促し、中井が「嫌だ~」と漏らすものの「じゃあ……」とつぶやくと、朱塗りの大きな杯に入った日本酒を一気に飲み干す、というものであった。
このCMはJRがスポンサーだった日本テレビ系の番組『遠くへ行きたい』などで数回放送された。
だがしばらくして、「嫌がっている人に無理矢理にイッキ飲みさせようとしている」といった苦情が多く寄せられることになり、JRグループ側も「イッキ飲みが危ないとは知らなかった」とし、6月末をもってCMの放送中止を決めた。
桜田ほか、男性人気の高いアイドル・女優3人を起用した本CMには当時大きな反響があったが、わずか1カ月で放送中止に。現在では「幻のCM」のひとつに数えられているようだ。