「火星の生命の痕跡」を探す調査・研究は多くの国や団体が行っているが、中でもイギリスは積極的にこの研究を進める国だ。今年3月にはイギリス宇宙局が、火星で採取されたサンプルを分析し、火星に「エイリアン」が住んでいる証拠を見つけることをめざす新しい研究所を英国国内に建設するための資金を獲得したという報道もあった。
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そして火星の岩石から生命の痕跡を発見する研究で第一線に立つ研究者の一人が、地質学者のジョン・パーネル教授だ。彼はスコットランドのアバディーン大学で、長年石油や天然ガス探査の研究を行っており、その技術を活かして欧州の火星探査ミッションに従事する技術者たちの指導と訓練を行っている。
現在、欧州が計画している火星でのミッションでは、火星の地表から「生命の痕跡がある可能性が最も高い岩石」を選出するという任務が課せられている。もちろん、まだ人間が火星に出向くことは不可能だ。探査機から送られてくる画像を見極めて「生命の痕跡がありそうな岩」を選び出さなくてはならないのだ。
「生命の痕跡がある可能性が高い岩」の特徴としては次のものがある。例えば気泡のある岩石は、微生物が表面下で生息できる空間があるため、微生物が存在している可能性があるという。また、水が通っていたであろう鉱脈が含まれている岩石も研究する価値があるものとされる。
研究者たちは火星探査機の動力が切れる前に、限られた数のサンプルしか選出できないという条件も踏まえた上で、探査機のカメラ越しにこれらの特徴を持つ岩石を見極めなければならない。しかしパーネル教授は「火星での生命探査は、地球でどのように生命が誕生したのか、何百万年も前の地球はどのような姿をしていたのか、という大きな疑問のヒントを与えてくれるかもしれません」と語っており、この生命探査プロジェクトに期待を抱いている。
欧州宇宙機関の火星探査機ミッションは、9月にロシアのロケットで打ち上げられ、8カ月後に着陸する予定だったが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻で現在休止状態にある。しかし、欧州宇宙機関の科学者たちは2023年にはこのミッションを実行へ移したいと願っているそうだ。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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「火星の生命」の証拠を掴むため イギリスが新たな宇宙研究所を建設
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