同戦は立ち合い右に変化し正代の左足をとった翔猿が一気に土俵外へ寄り倒そうとしたが、正代も左すくい投げで逆転を狙い、両者はほぼ同時に地面に倒れる。これを見た行司は翔猿に軍配を上げるも、勝負審判から物言いがつき協議に入った。
NHK中継では協議の間に取組のリプレー映像が流されたが、この映像では正代の右膝が翔猿の左肘よりわずかながら早く地面につく様子が映っていた。ただ、審判は協議の結果、両者同体と判断し取り直しを決定。取り直しの一番は立ち合い強く当たり翔猿を引かせた正代が押し出しで勝利した。
>>大相撲、小結・豊昇龍の取組後の表情に「見てて不快」と批判 解説も疑問、不可解判定に不満抑えられず?<<
同体取り直しの判定を受け、ネット上には「正代の方が先に落ちてるのに取り直しはどう考えてもおかしい」、「リプレー映像を見る限りでは翔猿有利に見えたんだけど」、「8日目(正代対豊昇龍戦)、9日目(貴景勝対若隆景戦)に続いてまた誤審かよ、いい加減にしてくれ」と批判の声が寄せられた。
一方、「同体判断が明らかにおかしいというわけではないと思う」、「正代の落下と同時に、裏返った翔猿の足が土俵についてるようにも見えるから妥当じゃないか?」、「怒ってる人たちはちょっと冷静になろう、本人も納得してるんだし」と批判にくぎを刺すコメントも多数見られた。
「物議を醸している取り直し判定ですが、リプレー映像には正代の右膝が地面につくのとほぼ同時に、翔猿の左足つま先が返って地面についているような様子も映っています。加えて、中継では取り直しの一番が終了した後に『取り直しだと思った。(2戦目は)思い切り行こうと思ったけど負けだった』と自身も取り直しを予想していたという翔猿のコメントが伝えられていることから、今回の取り直し判定はそれほどおかしくはなかったと冷静に見ているファンも少なからずいるようです」(相撲ライター)
今場所は8日目の正代対小結・豊昇龍戦で両者ほぼ同時に転落も物言いがつかず、翌9日目の大関・貴景勝対関脇・若隆景戦では取組中、土俵に右手をついたように見えた若隆景の動きが見逃されるなど疑惑の判定が相次いでいる。このことも今回の判定が物議を醸した一因といえそうだ。
文 / 柴田雅人