だが、この行為に「まずは被害者への謝罪が先では」「パフォーマンスにすぎないのでは」といった批判が生じてしまった。不祥事に際して、当事者が土下座を行う行為はこれまでにも見られた。しかし、逆効果となってしまう場合が少なくない。
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2016年1月15日に長野県軽井沢町で起こったスキーバス転落事故では、乗員・乗客41名中、15人が死亡した。観光地で発生した事故としては、今回の知床のケースと似ている。バスの運行会社「イーエスピー」は事故翌日の16日に謝罪会見を開き、社長らが涙ながらに土下座を行った。しかし、誰に対しての謝罪、土下座であるのかが明確ではなく、批判を集めてしまった。
元KAT-TUNの田口淳之介は、2019年5月22日に大麻取締法違反の疑いで厚生労働省麻薬取締部に逮捕される。同6月7日の保釈時に警察署の前で約16秒間に渡って土下座を行うが、出来すぎた展開が批判を集めてしまった。
2011年4月には、富山県などの焼肉店でユッケなどの肉を食べた多数の客が体調不良を訴える食中毒事件が発生。翌月までに5人が死亡、24人が重症となった。経営元の「フーズフォーラス」の社長は、当初は異常なテンションで会見を行い、「逆ギレ」と見なされて批判が殺到し、後日改めて土下座を伴う謝罪を行った。しかし、タイミングとしては遅すぎるものだろう。
同年5月には、東日本大震災の発生後、被災地を訪れた東京電力の社長が、被災者たちへ土下座を行いながら謝罪をした。しかし、社長と幹部らが示し合わせたように土下座を行ったことから、「事前に準備済だった?」「これでは誠意が見られない」といった批判を集めてしまった。
こうして見ると、土下座は時と場合によっては謝罪の意味をなさず、逆効果になってしまうのは確かだろう。