アメリカ・カリフォルニア州で医師の男性が射殺された事件で、起訴されていた男らに対し、裁判所が有罪判決を言い渡したと海外ニュースサイト『The Washington Post』『Law and Crime』などが3月29日までに報じた。
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報道によると2018年8月1日夜、当時67歳の男性が自宅の玄関内で何者かに銃で撃たれたという。銃声を聞いた近所の人が警察に通報。警察がすぐに駆け付けるも、男性の死亡が確認された。射殺された男性は、足治療専門の医師だった。
捜査関係者によると、男性医師の遺体のすぐ横に一枚の文書が落ちていたという。文書はカリフォルニア州医事委員会(以下委員会)のもので、男性医師の「処分」に関する文書の一部であった。男性医師は、委員会から懲戒処分を受けていたことが分かった。
処分を受けたのは、男性医師がとある女性患者に施した「巻き爪治療」が要因だ。2011年、女性は左足の親指の巻き爪を治すために、男性医師のもとを訪れたそうだ。しかし女性には抗生物質が処方されただけで、腫れや痛みはひかず、症状は悪化。2012年には左足の半分を切断する手術を受けたという。術後も不調が続き、切断した足から感染症にかかり、2016年に73歳で死亡したという。
2014年4月、女性の夫で83歳の男Aは「適切な治療を怠った、男性医師の重大過失」として、委員会に男性医師の処分を求めたそうだ。最終的に委員会は「女性の死と男性医師の治療に因果関係があるかは不明」としたが、2018年6月に男性医師は自らの過失を認め医師のライセンスを返納、医師の職を引退したという。
それでも、夫Aの怒りは収まらなかったようで、男性医師の殺害を計画。Aは26歳の男Bに殺害を依頼したそうだ。AがBとどのように知り合ったかは報じられていない。依頼を受けて、Bは友人ら男2人(C、D)とともに、男性医師の自宅を訪れ射殺した。警察が現場で発見した医師会の文書には、Bの指紋が残っていたという。
事件発生から約2カ月後、B、C、Dの3人は逮捕された。Bらは「Aから医師殺害を依頼されて、お金を受け取った」と自供したそうだ。警察はAの自宅を家宅捜査し、残りの医師会の文書を発見したという。警察はAを殺人の疑いで逮捕、起訴した。2022年2月からAの裁判が始まったが、Aは容疑を否認している。3月24日に開かれた裁判では、第一級殺人罪で有罪判決がAに言い渡された。量刑については、5月16日に言い渡される予定だ。
このニュースが世界に広がるとネット上では「愛、憎しみ、復讐の三拍子そろった事件だ」「医者を殺害しても妻は帰ってこない」「医者は薬を出しているし、反省もしているようだ。何も殺さなくても」「現場に証拠を残すシロウト集団」「そのへんのチンピラに殺人を依頼? 依頼する相手くらい選んだほうがよい」「巻き爪は本当に痛いしつらい。切断するほど悪化するとは、よほどのヤブ医者だったのだろう」といった声が上がった。
妻を失った男の怒りや悲しみは想像に難くない。しかし、その怒りの矛先を医師に向けて、命を奪うなど、許されるものではないだろう。
記事内の引用について
Man who blamed doctor for wife’s death is guilty of plotting his murder(The Washington Post)より
https://www.washingtonpost.com/nation/2022/03/29/california-hitman-murder-podiatrist/
California Man Convicted of Orchestrating Podiatrist’s Murder Over Late Wife’s Partial Foot Amputation(Law and Crime)より
https://lawandcrime.com/crime/california-man-convicted-of-orchestrating-podiatrists-murder-over-late-wifes-partial-foot-amputation/