アメリカ・ウィスコンシン州で61歳の歯科医の男が患者の歯をわざと傷つけ、さらなる治療を迫り、不当に治療費を得ていた事件の裁判が行われたと海外ニュースサイト『Oddity Central』と『Indiatimes』などが3月19日までに報じた。
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報道によると、男は2014年から患者の歯を故意に傷つけ、歯に被せものや差し歯をするよう勧める詐欺を働いていたという。男は治療のように見せかけて患者の歯にドリルで穴を開け、その後レントゲン写真を撮影。治療前の写真として患者に見せ、被せものや差し歯が必要であると説明していた。患者の保険会社にもレントゲン写真を提示する必要があったが、男はドリルで歯に穴を開けた後の写真を提示していたという。
多くの保険会社では被せものや差し歯の治療費は、保険が部分的にしかカバーされないため、被害に遭った患者のほとんどは多額の治療費を自己負担していたそうだ。なお、個人の歯の状況にもよるが、アメリカでは被せものの治療をすると保険を適用しても自己負担が500ドル(約6万円)以上、差し歯の治療をすると1000ドル(約12万円)以上の費用がかかることが多い。
男は2014年に434件の不当な治療をして約140万ドル(約1億7000万円)、2015年には1000件超の不当な治療で約250万ドル(約3億200万円)を稼いでいた。また2016年から2019年までには420万ドル(約5億800万円)以上を稼ぎ、そのうち2018年1月1日から2019年8月7日までの約20カ月間では1600件以上の不当な治療を行っていたことが明らかになっている。
男に歯を傷つけられた患者の一人は「男の治療はやり過ぎているようにも見えたが、私は歯の治療に関する知識はない。彼はプロだし、私は彼を信頼していた」と話している。
男の犯行が明るみに出たのは、2019年である。同年、男は治療院を売却し、新しい医師が患者の治療に関する情報を引き継いだ。しかし新しい医師は、男が多くの患者に対し被せものや差し歯の治療を多数していることを不審に思った。新しい医師は当局に報告。当局の捜査により男の詐欺行為が明らかになり、元患者など約100人が男を医療過誤で訴えたそうだ。男の医師免許は捜査が進んだ2021年2月に停止させられている。
2022年3月に男の裁判が行われ、男には5件の医療詐欺と患者の治療に対する虚偽報告2件などで有罪が言い渡された。刑罰は2022年6月に下される予定だが、医療詐欺に対しては1件ごとに最大10年、虚偽報告に対しては1件ごとに最大5年の刑務所行きが科せられる可能性があるという。
このニュースが世界に広がると、ネット上では「最低すぎる。歯を良くしようと思って行った歯医者で歯を傷つけられるなんて、たまったもんじゃない」「こんなにも多くの不正を行っていたのに、患者の誰もが気づかなかったことがすごい。医師はだます能力もあったのだろう」「穴の大きさは分からないけど、歯に穴を開けられるなどしたら痛くて気づきそうなものなのに」「新しい医師が通報しなければ、明らかにならなかったと思うと怖い」といった声が挙がっていた。
大切な歯を傷つけられた患者の多くは、男に対し強い怒りを持っていることだろう。
記事内の引用について
「Dentist Boosted Profits by Damaging Patients’ Teeth So He Could Fix Them」(Oddity Central)より
https://www.odditycentral.com/news/dentist-boosted-profits-by-damaging-patients-teeth-so-he-could-fix-them.html
「Dentist Damages Patients' Teeth Intentionally So That He Could 'Fix Them' With Crowns, Earns Millions」(Indiatimes)より
https://www.indiatimes.com/trending/social-relevance/dentist-breaks-patients-teeth-intentionally-to-fix-them-with-crows-564863.html