「大谷はオープン戦の成績があまり良くありません。打撃成績が特にそうなんですが、マシン打撃とは異なるピッチャーの生きたボールに対応するのに、他選手よりも時間のかかるタイプなのでしょう」(米国人ライター)
日本のプロ野球解説者たちも同様の指摘をしていた。投手、打者の双方の調整、さらに投手登板した翌日以降の疲労度合いなど、他選手よりもやらなければならないことがたくさんあるからだろう。
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「今季ペナントレースの試合数を減らす案も、選手会、メジャーリーグ機構の両方から聞こえてきました」(前出・同)
大谷は本塁打王のタイトルも射程圏内にある。しかし、投手・大谷はエンゼルスの大黒柱的な存在であり、今季からア・リーグ、ナ・リーグともに指名打者制(=以下DH)が採用される。
これまでナ・リーグ球団主催ゲームではDH制が使えなかったため、ベンチスタートとなることもあった。ナ・リーグのDH制採用により、「大谷の打席数が増える」という見方もあるが、投手に専念し打席に立たない試合も出てくるだろう。
今季、改めて「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」にも挑戦するわけだが、勝ち星、本塁打の数字はともに積み上げていくものだ。ペナントレースの試合数削減はマイナス要素でしかない。
「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」の偉業を阻む原因は、MLB機構と同選手会の新・労使協定の交渉難航に尽きる。本来なら、オープン戦がスタートしていた25日のことだ。MLB機構は公式ホームページで「3月8日以降のオープン戦スタートに」と伝えていた。
「その25日、MLB機構と同選手会が直接対面しての話し合いを行っています。時間にして約5時間、ロックアウト突入後、最長の時間が費やされました」(現地取材記者)
しかし、その5時間だが、前出の米国人ライター、現地メディア、関係者などの話を総合すると、実際に対面しての議論に全てが費やされたのではないようだ。一方が提案を出すと、相手側が「待った」をかけ、離席してオンラインで誰かに報告し、対案を伝えるというのを繰り返していたらしい。
「実際、議論に費やされたのは、1時間程度だと思う」(前出・同)
こんな調子では早期の決着は難しいだろう。
大谷の古巣・日本ハムの元同僚らによれば、大谷はメジャーリーグのキャンプ地であるフロリダ州にすでに入っており、スポーツジムなどで個人練習を続けているそうだ。
「コロナ禍による出入国の制限などがなければ、ギリギリまでNPBの練習施設を利用することもできたんですが…。個人でできる練習には限界があります」(関係者)
エンゼルスの開幕投手に大谷を予想する声も少なくないという。DH制をいきなり解除して、打席に立つ可能性もある。二刀流は調整に他選手の2倍の練習時間を要するのだろう。交渉の遅延、試合数削減の話、どちらも大谷にとってマイナスでしかない。(スポーツライター・飯山満)