「球団総年俸、フリーエージェント権取得の年数短縮など、お金に関わる話ばかり。機構側(経営者)が強気な姿勢を続けており、選手会側が代案を出すか、折れるしかない以外、決着はつかないでしょう」(米国人ライター)
そんな平行線を辿ったままの話し合いの中で、「これだけは早く合意してしまいましょう」と双方が主張している案件もある。ナ・リーグの指名打者制(以下=DH)の採用だ。
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ア・リーグ、ナ・リーグの両方がDH制を採用した場合の効果について、日本のプロ野球解説者がこう予想していた。
「DH制が使えないナ・リーグチームとの試合で、大谷がベンチスタートになることもありました。ナ・リーグもDH制になれば、大谷の打席数も増えるので、本塁打王タイトルにさらに近づけると思います」
昨季、ア・リーグ本塁打王に輝いたウラジミール・ゲレーロ・ジュニア(ブルージェイズ)は161試合698打席に立ち、48本の本塁打を放った。それに対し、大谷の打席数は639。数字上ではチャンス拡大だが、米国では別の見方もされていた。
「米国のファンも、『投手・大谷』がそのまま打席に立つリアル二刀流に注目しています。2022年シーズンも大谷が先発登板する試合は、DH制を解除して打席に立たせるはず。エンゼルスのジョー・マドン監督は、昨季終了後、大谷を外野手で使うプランも示唆していました」(前出・米国人ライター)
昨季はDH制の使えないナ・リーグチームとの試合は、大谷の“休養日”ともなっていた。ナ・リーグもDH制を採用すれば、休養日がなくなる。体力面が心配されるというわけだ。
また、投手・大谷についても、こんな指摘が聞かれた。
「もっとスプリットを使うべきだとの意見がチーム内外から出ています。大谷もそのつもりです」(現地関係者)
スプリットとは、日本におけるフォークボールもこれに含まれる。
投球分析が進んでいる米球界では「大谷のスプリットは20年と21年で軌道が異なる」とも伝えられていた。大谷自身が試行錯誤した結果だと思われるが、この“21年版の軌道”には手応えを感じているという。早いカウントからスプリットを投げ、ゴロ・アウト量産で投球数を減らそうとしている。
「大谷はまだ1月半ばだというのに、もうブルペン投球ができるところまで体が仕上がっています。昨季だって投打ともに大忙しだったのに、一体、いつ休んでいるのか…」
古巣・日本ハムの関係者がそう言う。
スプリット多投による“省エネ・ピッチング”が進めば勝ち星は増えていくはずだ。ハイペース調整の情報はちょっと気になるが、ナ・リーグのDH制導入によって、大谷は投打の両タイトルを狙えるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)
※メジャリーガーのカタカナ表記は「メジャーリーグ選手名鑑 2021」(廣済堂出版)を参考にいたしました。