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吉本のM-1芸人に共通していた実父の借金で苦しめられた過去

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ダウンタウン・松本人志、浜田雅功

 幼年期に貧乏だった体験を、お笑い芸人はトークや漫才・コントネタで生かす。天下のダウンタウンも、松本人志と浜田雅功はそろって裕福でない家庭で育った。そのため、過去に手がけたコントのベースが原体験になっているケースが少なくない。大人になってプラマイゼロにできた最高のパターンと言えよう。

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 同じく、関西の元“貧乏成金”と言えば、麒麟の田村裕。一家が離散して公園に住んだ実話を自著「ホームレス中学生」(ワニブックス)で発表すると、ダブルミリオンを突破するメガヒット。漫画、映画、ドラマ化になり、手にした大金は2億円超え。ところが、離別していた実父と再会して、マンションを購入してあげるなど散財したことによって、すっからかんに……。所帯を持った後は、知人が経営するバーでアルバイトをするほど、ラクな生活ではなくなった。

 麒麟は、「M-1グランプリ」に初年度の01年と03年~06年に決勝戦に進出している。同じく、M-1を機に関西の劇場から全国区のテレビタレントとして大成した元貧乏芸人は多い。ロケも司会もトークも申し分なく、あらゆるテイストの番組で起用されているアインシュタインの河井ゆずるもそんな1人だ。アインシュタインは16年、17年、19年のM-1「敗者復活戦」で爪痕を残し、時間をかけて東京進出を果たした。

 河井は3歳の時、水商売を転々としていた実父が蒸発。喫茶店を経営するなどして、母が家族3人を支えたが、パチンコ癖が直らず、生活が困窮。河井が18歳の時、大阪・心斎橋のど真ん中にある雑居ビルの屋上のプレハブ小屋に家族で移り住んだ。機械室がほとんどのスペースを占めていて、お風呂に入るには1回外へ出ないといけないが、家賃はゼロ。住む条件は、古くて汚いビルの掃除で、100を超える各店舗の電気、ガス、水道のメーターの検針、非常ベル、エレベーターの緊急時対応などだった。

 M-1優勝で人生を大逆転させたのは、16年王者の銀シャリ。鰻和弘も父の借金で苦労した。父は大のギャンブル好き。鰻が小学生の低学年だった頃から、大阪・八尾市の実家には消費者金融の男性がしょっちゅう取り立てに来ていた。母はパートに出ていたが、家計は火の車。両親ときょうだい3人が暮らしていた6畳2間は、それまで倉庫として使われていた。両親は小4の時に離婚。借金の取り立てからは解放されたが、生活のひっ迫は変わらなかった。

 「関西では、メッセンジャーの黒田有さんが有名。1歳の時、築年数の古い木造アパートに家族で住んでいて、ネズミに耳をかじられた実話はテッパン。意外なところでは、ナインティナインの矢部浩之さん。実父が再三にわたって金の無心をしたので、矢部さんが一人で借金を完済。なのに、舌の根が乾かぬうちに再び金を要求し始め、地元の大阪から夜中に車を飛ばして、東京の矢部宅に押し掛けてきたほど」(エンタメ雑誌の芸能ライター)

 借金が原動力になる芸人もいる。しかし、諸悪の根源が実の父であるのは、あまりにも酷な話だ。

(伊藤由華)

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