「CSに進出できる3位までに食い込めば何とかなるんじゃないか。短期決戦は『勢い』が大事。投手力の強いチームはゲームビジョンが組み立てやすいので有利になります」(プロ野球解説者)
そんなCSも含めた終盤戦のキーマンになると思われていた投手が、勝てなくなってしまったのだ。東北楽天の田中将大投手だ。
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「球種がバレているのか、狙い打ちされた印象です」(前出・同)
9月20日のソフトバンク戦で田中が日本復帰後のワーストとなる5失点で敗戦投手になったのは、既報通り。心配なのは、後半戦5試合に先発しているが、いまだ勝ち星を挙げていないことだ。
「田中は“秋に強いピッチャー”なんです」(米国人ライター)
米メディアの多くがそう評していた。楽天・石井一久監督もシーズン後半に近づくにつれ、調子を上げていく田中に期待していたのではないだろうか。
「田中は2019年までの米ポストシーズンマッチに8試合先発し、防御率1・76。歴代1位の被打率1・56(40イニング強)を誇っていました。『終盤戦に強い、短期決戦になったら、絶対に負けない』と言われてきました。20年ポストシーズンマッチでは炎上してしまいましたが、20-21年オフ、ニューヨークのファンが、ヤンキースが田中を強く引き止めなかったことに怒ったのはそのためです」(前出・同)
楽天の順位は3位。4位ソフトバンクとのゲーム差は「3.0」(9月20日時点)。「逃げ切れる」と予想する声も多いが、田中が勝てないままでは、肝心のCSで勝ち上がるのは難しいだろう。
米ア・リーグ中部地区のスカウトが、現在の田中をこう評していた。
「日本球界に復帰してからはスライダー系の変化球を低めに決め、打ち損じを誘うピッチングをしています。ここ最近は変化球を狙ったところに投げられなくなったようですね」
田中が登板する試合だが、実はいまだ米球界の関係者の姿がチラついている。米球界再挑戦の可能性があるからで、これに対し、NPBは「田中は2度、ポスティングシステムを経験することになるのか? ルール上は問題ないけど」と、頭を抱えていた。いや、一人の選手が同制度を複数回利用することは想定されていなかったのだ。
「そうなった時は、一応考えます」
そんな風に言葉を濁す関係者も少なくなかった。今の調子ではルール改正の必要はないが…。
田中が復活すれば、ペナントレース優勝決定後のCSも楽しみがある。
「ボールの違和感が残っているのでは」(球界関係者)
NPB公式球が馴染んでいないというのは考えにくい。しかし、田中は侍ジャパンのメンバーであり、東京五輪に招集された際は別メーカー製のボールを使用しなければならなかった。五輪公式球との違和感が不振の原因か? パ・リーグの終盤戦が盛り上がるかどうかは、田中の復活次第だ。(スポーツライター・飯山満)