香川文子さん(仮名・63歳)にとって、「恋愛」とは遥か昔に消え去った幻想と言ってもよいものだった。それが、ある男性との出会いにより自分の価値観が一変することになる。
>><実録!不倫カップルの顛末>したたかな女が演じた嘘と打算の危うい関係とは?<<
「夫とはお見合い結婚でした。私たちの時代では今と違って、お見合いで伴侶を選ぶというのは珍しくなかったんです。好きや嫌いではなく、条件だけで夫を選びました。夫は無口で面白みの無い人間でしたが、子どもにも恵まれましたし、生活に苦労することもありませんでした。
ずっと専業主婦だったのですが、夫が定年退職をしたのをきっかけに町内の花植えボランティアに出かけるようになったんです。そこで出会ったのが5つ年上のT介さんです。彼は夫よりも年上でしたが、独身の為かとても若く見えてスタイルも良くって……。何より、私が若い時に好きだった俳優に笑った顔が良く似ていたんです」
冗談一つ言わない夫との生活が苦痛で、外に出るようになった文子さん。T介は見た目だけでなく、活動にも精力的で多趣味。話題も豊富で女性陣の間でもよく噂になっていたという。
「T介さんと話していると、まるで10代に戻った時のようなときめきを感じました。まさか自分にもこんな気持ちが残っているのかと驚いた程です。…でも、さすがに彼とどうこうなるとは思ってもいませんでした。子ども達も独立していて、孫もいましたしね。ただ、今日も彼と会えると思うと、元気が出ましたし、お洒落にも気を遣うようになりました」
忘れ去っていたほのかな恋愛感情が蘇ってきた文子さん。日常生活の張り合いになっていたと言う。しかし、この後、二人は急接近し、胸に秘めた甘酸っぱい憧れは、不穏な空気を纏う「不倫関係」へと容貌を変えていく。