9月2日の対中日戦が雨天中止となった。前日の同カードは勝利したが、ここ最近は広島3連戦で3連敗を喫するなど、矢野阪神のチーム状態は決して良くない。こういう場合、指揮官は「気分転換になれば」と捉えるのだが、そうはならなかった。
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「同日先発の藤浪はどうなるのか?」
矢野燿大監督はこの記者団の質問に顔をしかめ、「今すぐには、う~ん、決めにくい」とこぼした。
「いったん中継ぎに入る形で調整していくのか、順番的に(先発が)空いているところがないんで。もう登録しているんで」
今回の先発は、いわゆるローテーションの谷間を埋めるため。連戦などより、通常の先発ローテーション投手だけでは足らなくなり、藤浪にチャンスが回ってきたのだ。
「8月26日のオリックス二軍との試合で好投しています(7回1失点)。9月2日の先発登板に対し、藤浪も自信を持っていたと思います」(在阪記者)
しかし、今回はローテーションの谷間を埋める役割以外は求めていなかったようだ。
同日の甲子園球場でのこと。藤浪が一軍登録されたのは、午後3時。「午後3時」は、二軍選手との入れ換えがある場合の締切り時刻である。この時点で、甲子園球場を整備する阪神園芸のスタッフたちは内野フィールドにシートを敷くなどし、試合を行う方向で準備を進めていた。雨が降ったり止んだりを繰り返していたが。
しかし、試合中止が宣告されたのは午後4時過ぎ。藤浪の登録は“無意味”になってしまった。
「二保旭を先発で使っていくつもり。二保は8月21日の中日戦で敗戦投手になりました。矢野監督はいったん二軍に落とし、先発投手として再調整させ、9月に一軍に呼び戻す予定。西勇輝、青柳、秋山、ガンケル、伊藤将司、二保。先発ローテーション枠の6人は埋まっています」(前出・在阪記者)
中継ぎ投手陣は8月30日にアルカンタラを外国人選手の出場枠の問題で一軍登録から外しており、火の車だ。藤浪が増員されるのであれば、岩崎、馬場、小川、及川らは大歓迎だろうが、
「ほぼ毎日投げる中継ぎと、一定間隔を空けて長いイニングを放る先発投手は、調整が異なります。藤浪は先発要員として二軍で調整してきました。矢野監督が迷うのは当然」(プロ野球解説者)
と反対する声も聞かれた。
このまま登板ナシで再び二軍降格となりそうな雰囲気だったが…。
9月3日からライバル巨人との3連戦が始まる。井上一樹ヘッドコーチなど複数の首脳陣から中田翔選手を警戒する声が聞かれた。
そう言えば、藤浪と中田は同じ大阪桐蔭高の出身だ。奇しくも、ともに苦しい立場に置かれている。直接対決を見たいと思うファンは多いはずだが、矢野監督は藤浪の今後をどう考えているのだろうか。(スポーツライター・飯山満)