フランス中央部・シャロンシュルソーヌの裁判所は、夫を銃で撃って殺害したとして起訴されていた妻に対し、禁固刑4年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡したと、海外ニュースサイト『abc News』『Daily Mail』などが6月26日までに報じた。
記事によると40歳の女は2016年3月、夫で当時61歳の男Aの後頭部を、銃で撃って殺害。息子2人、娘の交際相手(いずれも年齢不明)とともに、Aの遺体を森に埋めたという。事件が発覚したのは、娘の彼氏の告白がきっかけ。A殺害から約1年後、娘の彼氏は遺体を隠す「手助け」をした事実を自身の母親に打ち明けた。母親が警察に通報し、女はA殺害の容疑で逮捕されたそうだ。女は容疑を認めており、逮捕から約1年後の2018年に保釈されている。
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起訴された女の裁判が開かれると、徐々に事件の全貌が明らかに。女が初めてAと出会ったのは1992年、女が12歳のとき。Aは、女の母親の交際相手だった。まもなくAは、女家族と同居を開始。母親とは事実婚状態だったとみられる。Aは義理の父親という立場にもかかわらず、出会いから数カ月後、女に性的暴行を加えた。以後、性的虐待は日常的に行われたそうだ。女の姉も性的虐待を受けており、同居から3年後の1995年、姉が警察に通報したそうだ。Aは児童虐待で有罪判決を受け、刑務所で2年間過ごしている。出所後、Aは再び女家族のもとに戻ってきた。
Aは「二度としない」と約束したため、母親はAを許して迎え入れた。しかし、女に対する性的虐待はやまず、女は17歳でAの子どもを妊娠。母親は、女を家から追い出したそうだ。Aは女を選んだようで、女とAは母親とは別の場所で暮らし始め、結婚したそうだ。2人の間には4人の子どもが生まれた。女はAから日常的に暴力を受けており、精神的にも支配された状態だったという。
2016年3月、Aは女に売春を強要した。さらに、14歳の娘にも売春させようとしたそうだ。女は、Aが連れてきた男らに性的暴行を受けた後、Aを射殺した。女は「自分を守るため、娘を守るためにやった」と正当防衛を主張。女は自身の体験をつづった本を2021年5月に出版すると、本件が世間に広く知られるようになったという。
6月25日に開かれた裁判では、女は殺人罪で禁固刑4年、執行猶予3年の判決が言い渡された。女はすでに1年拘留されており、刑務所行きを免れたという。
このニュースが世界に広がるとネット上では、「判決は妥当。女には幸せになってほしい」「女は毒親の被害者だ。同情する」「女の母親がすべて悪い。罰を受けるのは母親だ」「義理父は、とんでもない幼児性愛者。殺されても文句は言えまい」「男から逃げる方法は他になかったのか? 殺さなくてもよかった」「女は逃げるチャンスはあったはず」「殺人は殺人。判決が軽すぎる」など様々な意見が飛び交った。
幼いころに虐待を受け続けた子どもは大人になっても、正常な判断ができなくなるほど心に深刻なダメージを受けると言われる。虐待に苦しむ子どもを救えるような社会制度づくりが求められているのかもしれない。
記事内の引用について
Frenchwoman is found GUILTY of murdering her rapist husband who pimped her out to truck drivers - but will not spend another night in prison(Daily Mail)より
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9724807/Valerie-Bacot-collapses-court-French-prosecutors-say-NOT-prison.html
French woman convicted of killing 'monster' abuser, set free(abc News)より
https://abcnews.go.com/International/wireStory/french-woman-stands-trial-murder-decades-long-abuser-78484600