1977年10月某日、岩手県某市のある田舎の診療所に、生後1カ月の女の子の赤ちゃんが60歳の男性に連れられ血まみれの状態でやってきた。
赤ちゃんは全身が鋭利な刃物でメッタ切りにされていた。特に顔の損傷がひどく、左目の上、くちびるなどに数十センチほどの深い傷を負い、血がとめどなく流れている。
「これはひどい」と医者は急いで処置したが、設備の限られている診療所では手に負えず、市内の病院に搬送されることになった。だが懸命な手当てのかいなく、その日のうちに出血多量で死亡した。
赤ん坊は当初事故に巻き込まれたものと思われたが、切り傷が鋭利であることから、何者かが刃物で切り刻んだとみて殺人の容疑で調べることになった。
赤ちゃん殺しの犯人はすぐに見つかった。
なんと赤ちゃんを殺した犯人は実のお姉さんに当たる2歳の女児、A子ちゃんだったのだ。A子ちゃんはここ最近、ようやく片言ではあるが話せるようになり、2カ月前に妹が生まれたことをとても喜び、両親に対してもお姉さんとして振る舞うなどしていたという。
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殺害に至った理由はこう推測される。
A子ちゃんは以前から母をまねて化粧遊びをするくせがあり、母がカミソリで顔を剃るところなどをよく観察していたという。
この日、両親は仕事に行っており、祖父と娘2人は朝早くから留守番をしていた。
A子ちゃんは両親が出かける際「行かないで」とだだをこねたが、その後は大人しく祖父と外で遊んでいた。しかしA子ちゃんは祖父が目を離した隙を見計らい、赤ちゃんが寝ている自宅2階に上がり、赤ちゃん相手にカミソリ遊びをしてしまったとされている。
だが、疑問は残る。
生後2カ月とはいえ、赤ちゃんがカミソリで顔を切られるとその痛みで泣き叫んでいたはずだ。
いくら幼いとはいえ、血まみれで泣き叫ぶかわいい妹の顔に何度もカミソリを当てる精神状態は理解しがたい。母のまねとはいえ、あまりに考えづらいのだ。
教育専門家も首をひねり「寂しさや嫉妬心など何か心に奥深い原因があったのではないか」と推察している。
本事件は2歳の子どもが犯人、かつ40年以上前の事件であるため、今後解明される可能性はないが、子どもを持つ家庭にとっては決して他人事ではない事件だろう。