「指導が的確だったのでしょう。丸の表情が一変しました」(関係者)
長嶋氏がグラウンドに現れたのは、午前9時ごろ。これまでも選手たちを激励してきたが、シーズン中、それも二軍訪問となれば異例中の異例だ。
お目当ては、丸。打撃不振で二軍降格となった中軸バッターに「伝えたいことがあった」という。
「何人かの若手にも声を掛けていました。グラウンドで丸に指導した後、室内練習場に場所を移し、さらに一時間も付きっ切りになりました」(スポーツ紙記者)
長嶋氏の激励訪問について聞くと、巨人選手は“ゲン担ぎのようなこと”を思い浮かべるそうだ。
それは第二期原政権下から続いているもので、長嶋氏に「ガンバレ」の意味で肩をポンポンと叩かれた選手は、その年に好成績を収めているのだという。そのため、全選手が「自分も肩を叩いてもらいたい、声を掛けてもらいたい」と思い、また、長嶋氏もその話を聞かされているらしく、挨拶に来た選手には必ず肩を叩くなどしているそうだ。
「原辰徳監督、阿部慎之助二軍監督も、長嶋氏に相談したいこともあったのではないか? 今後の選手起用や補強のことで」(ベテラン記者)
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「補強」と言えば、日本球界への帰還を認めた山口俊投手とは、近く正式な交渉も行われる予定。今回の長嶋氏の激励が行われた前日、育成の戸田懐生投手の支配下登録も発表されたが、こんな指摘も聞かれた。
「巨人の支配下登録選手は66人。戸田を入れて、です。他球団は70人の上限ギリギリの68人とか69人を登録しています。山口が67人目となっても、人数的にはまだ十分補強ができます。交流戦が終わるのを待って、パ・リーグのどこかとトレードをやるか、出場機会を失ったベテランを獲るのではないかとも予想されています」(前出・同)
そうなると、二軍でチャンスを待っている若手の出場機会が失われる。若手に対する客観的な評価も、長嶋氏から聞きたかったのではないだろうか。
先の関係者によれば、長嶋氏は自宅テレビで巨人戦をほぼ毎日チェックしているそうだ。ファーム戦に関しても同様で、気になっている若手選手もいるのかもしれない。
「今回の二軍訪問ですが、長嶋氏が元気だということを伝えるのが、最大の目的だったとも解釈できます。一時期、体調が優れないなんて情報も流れ、公の場に出る機会も激減し、他球団のスタッフも心配していましたから」(球界関係者)
原巨人にとって、坂本勇人の復帰と丸の打撃復調こそが“最高の補強”だ。「丸の復調に長嶋氏の助言があった」となれば、チームの雰囲気も好転する。訪問先は二軍だが、その効果は一軍で見られそうだ。(スポーツライター・飯山満)