2020年以降の新型コロナウイルスの流行で、日本人の生活様式は一変。常にマスクをしたり、間隔を取ったりといったマナーが一般化したことで、ドラマにコロナ禍の設定を取り入れる作品が相次いだ。
今年1月期に綾瀬はるかが主演した『天国と地獄』(TBS系)では「こんなご時世なので」とソーシャルディスタンスを保つシーンがあった。長瀬智也主演の『俺の家の話』(同)では登場人物が外出時、常にマスクを着用。また『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系)、『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系)なども今の「ウィズコロナ」の時代に合わせた演出にしていた。
だが、『天国と地獄』のコロナ設定は最初の数話のみ。会議シーンなど、通常マスクが必要と思えるシーンでは逆に外すなど違和感の残る演出が目立ち、途中からコロナ設定はあまり関係なくなっていた。結局、『俺の家の話』など一部のドラマを除いては途中でコロナの設定がほぼ消えてしまっている。
>>冬ドラマベスト3は前評判通り 『ボス恋』と『ウチカレ』、明暗を分けたのは“シフトチェンジ”?<<
2021年4月スタートのドラマでは『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)で、エキストラがマスク着用で歩くのが目立った程度。『俺の家の話』のようにマスクやコロナを取り込んだ作品は少なくなっている。
テレビドラマで新型コロナ設定を取り入れる作品が減っているのは、やはり未知のウイルスがドラマに入り込むと主題がぶれるからではないか。また日に日に変化する防止対策などを演出に取り込むのが難しく、何より「フィクションの中でもコロナ禍の生活を観たくない」「現実に引き戻されたくない」という思いが強い視聴者側のストレスに配慮しているのだろう。
まだまだ終わりの見えないコロナ禍だが、今後も撮影現場を悩ますことになりそうだ。