開幕前には優勝候補にも挙げられていた楽天。まさに「令和の投手王国」とも呼べる布陣の手綱を握る新指揮官の心待ちとするのはもちろん、大黒柱・田中将大の日本復帰後のシーズン初登板だ。「彼(田中)には結果を見せて欲しい。田中が投げた試合は常に勝利を」と語っており、エースへ寄せる思いも絶大だ。
新監督としての船出は決して順調なことばかりではなかった。
開幕直後、2戦目先発予定となっていた田中、さらに昨季はクローザーとして目覚ましい働きを見せたブセニッツが何れも負傷により登録抹消と、いきなりの憂き目に遭う。また、田中に次ぐ柱としての期待を背負う、則本昂大の私生活での話題が週刊誌を賑わすなど、グラウンド内外でネガティブな話題が先行した。
だが、田中の負傷は「本当に軽度なもの」と石井監督によって伝えられていて、公式戦初登板の予定も近いことを明らかにしている。ブセニッツが抜けたリリーフ陣では、3カードを終えた時点で、今季抑えとして再転向を図った松井裕樹がここまで3セーブを記録、また、則本も既に先発勝利を挙げており騒動での影響を感じさせず、共に復活への足掛かりを固めている。
先発陣では、指揮官自ら2月中に開幕投手として決定したという涌井秀章、岸孝之の両ベテランも今季初登板で勝利しており、早速、望む通りの結果を残している。さらにドラフト1位、早川隆久は開幕ローテ入りを果たして臨んだプロ初登板、開幕3戦目の日本ハム戦で6回を投げ、8個の三振を奪い勝利するなど、前評判通りの投球内容を披露した。
勿論、勝利に貢献してきたのは救援陣も同じだ。4月3日のオリックス戦では、途中アクシデントでの緊急降板などもあったものの投手7人で凌ぎ切り、1点差で勝利をものにしている。石井監督は「リリーフのみんなが凄く頑張ってくれた」と手放しで投手陣を称えた。
現役時のキャラクターをそのままに、ポジティブでありどこか柔らかい印象は監督となった現在も変わらない。エース田中の復帰も見据え、注目度はこれまで以上となる今季の楽天を石井新監督がどう操るか、早くも今季の大きな楽しみとなっている。(佐藤文孝)