東京ヤクルトのエース・小川泰弘対巨人・野上亮磨。菅野智之の代役を務める野上は2019年8月以来、605日ぶりの一軍公式戦先発登板となる。同年10月のアキレス腱断裂の重傷からカムバックをめざす。
しかし、前日4月1日にその野上が「明日の予告先発投手」として発表された直後から、こんな声も囁かれていた。
「大事な復帰登板なので、スタメン捕手は小林か、炭谷の方が良いのではないか」
開幕から4月1日までの6試合、スタメンマスクをかぶってきたのは、大城卓三だ。
昨季は持ち前の打撃力が評価され、さらに小林誠司の故障離脱も重なって、93試合に出場した。菅野の13連勝にも貢献しており、ベストナインに選ばれる。
「今春キャンプ、オープン戦では、小林、炭谷銀仁朗と正捕手争いを繰り広げ、開幕スタメンに選ばれました」(スポーツ紙記者)
“開幕マスク”に選ばれた時点で、「正捕手争いに終止符が打たれた」と見る向きもあった。理由は、原辰徳監督にある。日本シリーズ対策として、「今年はある程度、レギュラーを固めて戦う」とを口にしていたからだ。
「開幕第2戦、戸郷翔征が先発しました。昨季、戸郷をリードしてきたのは、経験豊富な炭谷でした。その炭谷ではなく、大城とバッテリーを組ませたので、これはもう、決定的だなと」(プロ野球解説者)
ここまでの6試合を振り返ってみると、スタメンは大城、代打、代走などの選手交代を経て、試合終盤に小林または炭谷がマスクをかぶってきた。
大城、小林、炭谷の3捕手は全員、日本代表チームに選出された経験を持つ。捕手難のチームからすれば羨ましい限りであり、見方を変えれば、小林のトレード放出説が囁かれる要因にもなっている。
「大城は打撃力、炭谷は捕手としての総合力、小林には肩が強いという武器があります。3人とも優秀な捕手ですが、配球という点では、小林か、炭谷のどちらかでしょう。配球面では大城は2人と比べ、ちょっと落ちるかな」(前出・プロ野球解説者)
菅野の故障離脱に関しては、「軽症、大事を取って」と首脳陣は説明していた。しかし、エース不在に加え、FA加入の井納翔一が3月31日の中日戦でノックアウトを喫しており、原監督も野上には「勝ってほしい」と思っているはず。
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その復帰登板に向け、配球に一日の長がある小林か、同じ西武ライオンズ出身の炭谷とのバッテリーを推す声が出たのは、こうした経緯によるものだ。
「対戦相手は、ヤクルトのエース(=小川)です。ロースコアの試合展開も予想されますので、打撃力のある大城を起用するのも正しい選択です」(ベテラン記者)
昨季までは3人の捕手を使い分けてきた。正捕手争いの第2ラウンドが始まるのかもしれない。原監督は、どんな選手起用を考えているのだろうか。(スポーツライター・飯山満)