17日、佐藤輝明選手(近大)がオープン戦第6号アーチを放ち、チームも快勝したその裏で“事件”は起きていた。調整の一環でファーム戦に登板したチェン・ウェイン投手が「被安打11失点8」と大炎上したのである。
「先発ローテーションについて考え直さなければなりません。4人のうち、誰か1人でもコケたら大ごとですよ」(ベテラン記者)
先発ローテーション入りが確定している4人とは、開幕投手の藤浪晋太郎、西勇輝、青柳晃洋、秋山拓巳。矢野燿大監督は新加入のアルカンタラにも期待を寄せていたが、新型コロナウイルス禍で来日が遅れており、チェンをアテにしていた部分はかなり大きかった。
しかし、そのチェンについて、こんな評価も聞かれた。
「調子が上がってこないというか、キャンプ中も80球程度を過ぎたあたりから球速がガクンと落ちてしまうんです。そのまま、今日に至った感じ」(プロ野球解説者)
チェンも「マズイ」と思っているのだろう。試合後、「甘いボールが多かった」と話しており、また「テストしておきたいボールがあって」と“試験段階”であることも強調していた。
阪神に詳しいプロ野球解説者がこう続ける。
「チェンは外国人選手の就労ビザの発行が遅れている状況をキャッチし、1月半ばには来日していました。でも、そこから約2週間の隔離生活もあって、万全な状態でキャンプに臨めませんでした」
隔離生活などの事情は分かるが、もう3月半ばだ。来週26日にはペナントレースが開幕する。実績のある投手だから、開幕ローテーションからいったん外し、再調整の期間を与えた方が良いのではないだろうか。
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「矢野監督は開幕序盤に重点を置いています。昨季は連敗スタートとなり、そのツケが最後まで響いてしまい、巨人の独走も許してしまいました。『開幕ダッシュに成功すれば』というのが、矢野監督の構想です」(前出・プロ野球解説者)
ドラフト2位左腕・伊藤将司投手(JR東日本)の評判が良い。「往年の能見(現オリックス)に似ている」との声もあり、チェンの代役に抜てきされるかもしれない。
「佐藤ですが、オープン戦で『あと1本』、本塁打が出たら長嶋茂雄氏の新人時代の記録に並びます。でも、疲れているので本当なら休ませてあげたいんですが」(球界関係者)
リフレッシュ休暇を与え、万全の体調で開幕へ――。しかし、6号アーチが出た時点で「ドラフト制以降、新人最多」となり、記録達成という注目も加わった。そのため、休ませてやることはできない雰囲気になってきたそうだ。
打線のカギを握るのは佐藤。チェンの穴を埋めるのは伊藤将。矢野阪神は“新人頼み”というわけか…。(スポーツライター・飯山満)