石井一久監督が東北楽天ゴールデンイーグルスのゼネラルマネージャーに就任した18年9月から、「そう遠くない将来、古田氏がクリムゾンレッドのユニフォームを着る」と目されてきた。それはヤクルト出身者のコーチとして要所を任されるためだが、今回の氏の古巣帰還に驚きの声も多く聞かれた。
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「古田氏は06年から2年、監督を任されました。その時、着手したのがフロント改革でした。大手広告代理店、マネジメント業務に長けた者たちが外部スタッフとして招かれました。これまで球団業務に携わってきた人たちにすれば、面白いはずがありません」(ベテラン記者)
90年代、ヤクルトは野村克也監督の掲げる「ID野球」で日本一にも輝いた。その申し子であり、攻守においてチームに貢献してきた。07年に現役、監督を退いた後、なんとなく、距離ができてしまったのも、当時のチーム改革が影響しているという。
今回の臨時コーチは高津臣吾監督の要望によるもの。“14年ぶりの復帰”となる。高津監督が頭を下げて回ったのか? 本当にわだかまりがあったとしても、時間の経過とともに関係も修復したのだろう。
こんな声も聞かれた。新旧ID野球の申し子の“答え合わせ”だ。
「楽天時代に野村監督の薫陶を受けた嶋基宏捕手と、配球やデータ解析について確認するはずです。野村監督はヤクルト、阪神、楽天を渡り歩き、教える内容も少しずつ変えてきました。大元となる内容は変わっていないようですが、少しずつ新しいことを肉付けしていたと聞いています」(プロ野球解説者)
自軍の投手事情によって、配球も異なる。90年のヤクルト、阪神は年齢的なピークを過ぎた投手も多かったため、対戦バッターの裏をかくことや苦手コースを突いてきた。楽天時代は田中将大投手のような若いピッチャーを育てるため、映像を使った指導もしていた。
投手陣の再建だけではなく、今一つ伸び悩んでいる若手捕手の育成にも着手するそうだ。
「各球団が新しい監督を探す際、必ずと言っていいほど名前が挙げるのが古田氏です。兼任監督時代は好成績を残せませんでしたが、臨時コーチとして結果を残せば、復帰の話も本格化していきそうですね」(前出・同)
復帰先が古巣・ヤクルトになるとは限らない。楽天の石井監督も気にしているはずだ。今回の臨時コーチとしての手腕に注目しているのは、ヤクルトの関係者だけではないようだ。(スポーツライター・飯山満)