「今季8月にノーヒットノーランも達成した好投手です。先発投手として確実に計算もできます。ただ、新型コロナウイルスの影響もあって、ほとんどの球団が補強の規模を縮小しています」(球界関係者)
チームメイトから「来季も一緒にやろう」の連絡も寄せられていたそうだ。自身を必要としてくれる球団で現役を続けるのは幸せなことであり、小川も東京ヤクルトの誠意を受け止めたのだろう。
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しかし、来季の先発ローテーション争いは波乱含みとなりそうだ。
「来季の目玉はプロ2年目を迎える奥川恭伸投手、今年のドラフト会議でも木澤尚文(慶應大)、山野太一(東北福祉大)と、即戦力投手を指名しました。新外国人投手のサイスニードも先発で使う予定です」(スポーツ紙記者)
来季の先発候補は他にもいる。レジェンド・石川雅規、高梨裕稔、サイスニード、吉田大喜、木澤、山野など。石川の年齢を考えると、シーズンを通して投げることはないだろう。そうなると、左の先発要員が新人の山野だけだ。来季6年目の左腕・高橋奎二も先発で調整させなければならない。
「今季、高津臣吾監督は奥川を使いたくて使いたくて、ウズウズしていました。キャンプ、オープン戦で怪我がなければ、先発ローテーション入りさせ、将来のエースとして育てていくはず」(前出・球界関係者)
先発枠の6人は、高橋奎、山野の左投手と奥川優先で決められそうだ。
かといって、実績十分で働き盛りの年齢にある小川が「先発枠から外れる」ことにはならないが、こんな見方もできる。
「小川をエースとして扱っていくのは間違いありません。ということは、来季の開幕投手の最有力候補であるのと同時に、常に3連戦の初戦を託されるわけです。エース対決の投げ合いが続くことになります」(前出・同)
ロースコアでの投げ合いが続く。味方打線も「対エース」となれば、得点能力はダウンする。小川は厳しい投手戦を続けていくことになり、勝ち星もなかなか増えないだろう。奥川など新人投手たちは精神的負担の少ない2戦目以降で投げさせていくはずだ。
「勝ち星だけを見たら、『奥川の方が上』なんてことも考えられます」(前出・同)
東京ヤクルトは誠意を示した。その誠意とは、もっとも過酷な登板機会に変わる。小川には4年7億円強が提示されたという。エースに相応しい年俸額である。厳しいエース対決に勝ち続けなければ、奥川との世代交代が加速するだけだ。(スポーツライター・飯山満)