そもそもドイツでは、日本に比べ、ワクチンの接種に後ろ向きな人が多い。ドイツでは子どもは日本とほぼ同じ種類の予防接種を受けるが、ドイツに関するニュースを配信している海外サイト『IamExpat』によると、2歳までに推奨される種類の予防接種を拒否する子どもは都市部では9パーセント、地方では2パーセントにも上るそうだ。実際、子どもを持つドイツ人の両親からは「ワクチンは科学的に作られたもの。それを体に入れるなんて嫌だ」「小さい子どもの体に自然でないものを入れたくない」など、子どものワクチン接種に拒否反応を示す声が挙がっている。
「ワクチン接種に懐疑的な母親は日本に比べてかなり多い印象です。だからといって、特に特別なにか病気にかからないような対策をするわけではないのですが、病気になるのは自然なことで、それを自然に治す方が免疫はきちんとつくし体にいいと思っているようですね。しかし、実際には子どものうちに受けるべき予防接種をしないと、幼稚園や小学校に入学できないケースもあるので、幼稚園や小学校入学までには大多数の子どもが接種しますね」(ドイツ在住日本人)
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ドイツではこういった背景があるものの、新型コロナウイルスワクチンの接種に対しては比較的前向きな人が多い。現地の報道によると、5〜7割のドイツ人が積極的に接種したいと考えているという。現地の声を聞いてみると、接種に前向きなのは、自国の製薬会社がワクチンの開発に携わっているというのも理由のようだ。
とある30代のドイツ人男性は、ドイツは医療に優れていることを挙げ、これまでに類のないワクチンであってもドイツの会社が開発に携わっているワクチンであれば「信頼できる」と明かす。ワクチンの副作用に対してはあまり恐怖心を持っておらず、「コロナにかかることに比べたら怖くない」そうだ。
一方で後ろ向きな人も一定数いる。40代のドイツ人女性は、自国民は薬に頼ることがあまり好きでないと明かしつつ、「ドイツ人は風邪をひいても風邪薬に頼らず、ハーブティーで治すのに、得体の知れないワクチンを打つなんてもってのほか」と話していた。実際、ドイツ人は薬やワクチンといった類のものを嫌う傾向にあり、それも接種をちゅうちょする理由になっているようだ。
「コロナがはやる前、インフルエンザのワクチンを打とうとクリニックに相談したら、先生に『インフルエンザはそこまで重症にならないし、ワクチンで予防することはおすすめできない。副反応は低いとはいえ、特に子どもにはワクチンを打ちたくない』と言われ、2歳の娘は予防接種をしてもらえませんでした。コロナワクチンの開発にはドイツの会社も関わっていますが、そもそもワクチンに後ろ向きな環境がドイツにはあるのに、信頼して接種していいかなんとなく不安になります」(前出・ドイツ在住日本人)
ワクチンの接種率が新型コロナウイルス収束の鍵となるが、ドイツでの接種率が実際どれほどになるのかは不透明である。
記事内の引用について
「Majority of two-year-olds in Germany missing crucial vaccines」(IamExpat)より
https://www.iamexpat.de/expat-info/german-expat-news/majority-two-year-olds-germany-missing-crucial-vaccines