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ドイツで1歳の娘を保育園に通わせているという女性によると、保育園の先生が新型コロナウイルスに感染したにも関わらず、保育園は閉鎖されず、通常通り運営されているという。検査は、実際に感染した先生とよく仕事をしていた別の先生のみが受け、園児はもちろんその家族も受けるように指示されなかったそうだ。
「少し前は、子どもの家族を含め、保育園の関係者に一人でも新型コロナウイルスに感染した人がいたら保育園は閉められていましたが、今はそこまではしないようです。保育園は休園にならなかったのですが、休園にならなかったことを喜んでいる親御さんの方が多かったですね」(ドイツ在住日本人)
また、職場でも変化は起きているようだ。同僚に新型コロナウイルスの症状が出た際、以前なら検査の結果に関わらず、同じフロアで働いている人は即自宅待機を命じられたが、今ではそういった措置は取られないという。オフィスの人数を制限したり、社会的距離を保ってデスクを配置していることもあり、自宅待機は症状が出た人のみとなる。
「症状が出た人はコロナではなかったのですが、症状が出てから検査をするまで2日間ありました。その間、コロナに感染しているかどうか分からなかったのですが、コロナの症状が出た人の同僚は慌てる様子はなく、むしろみんな通常通り業務をしていましたよ」(ドイツ在住ドイツ人男性)
しかし、新型コロナウイルスに対する意識が薄れたことで、自己隔離に対しては懸念を示す人も多い。現在ドイツでは、場所にもよるが、別の国や州に行った場合、戻ってからは自己隔離をしなければならないことが多い。自己隔離の日数は場所や州によって異なるが最大14日間。しかし、SNSを見ると「自己隔離をしなくてはならないと言うけど、誰もチェックしない。友人は次の日には普通に食事に出かけてた」「自己隔離をせずに注意された人を聞いたことがない。守ってる人は少なそう」などの声が挙がっている。
感染防止対策の一つであるマスクの着用は、レストランや電車など法律で決められている場所での着用率は高いが、着用をしていてもマスクを顎まで下げていたり、鼻まで覆っていない人は多い。電車でマスク着用を訴えるポスターを掲示しなければならないほどで、感染防止というよりは“決められているから取りあえずしておく”というスタンスの人が多いようだ。
一方で、手洗いに対する意識は高く、以前はレストランでは食事前に手洗いをする人を見かけることは少なかったが、今では除菌ジェルを持ち歩いたり、入り口に消毒液を置いている店も多く見受けられるようになった。
フランスやスペインの都市で非常事態宣言が発表され、ドイツの周辺国は再び感染者の増加が深刻になり、ドイツでも非常事態宣言が出されないまでも、集まる人数を制限するなど、少しずつ規制をする州が増えている。とは言え、ドイツ人はあまり重く受け止める様子はない。かと言って、「ドイツは大丈夫」と楽観視しているわけではなく、手洗いなどできることはやって、後は心配しすぎないようにしている人がほとんどだ。
感染者が増大しているドイツだが、今はある程度、新型コロナウイルスとともに生活することを受け入れる環境にあるようだ。