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伊藤詩織氏「いろいろな方向から矢が飛んでくる」フェイクニュースの娯楽化に警鐘

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伊藤詩織氏(c)日本財団「STARTLINE」

 日本財団が制作する期間限定のオンデマンド番組『STARTLINE』の収録が8日、都内で行われ、ジャーナリストの堀潤氏、スローニュースの瀬尾傑代表取締役、ジャーナリストの伊藤詩織氏が登壇した。
 「メディアに疲れていませんか?―ニュース・SNSとの新しい付き合い方」と題して行われたセッションでは、コロナ禍でのメディアとの向き合い方について意見交換が行われた。

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 堀氏はNHK勤務時に東日本大震災が発生。「不安を煽りすぎず、正確な情報を伝える必要性を感じた」と自身の経験を元に語った。コロナ禍でも「ラインのIDを開放して困りごとを聞き、専門家とのマッチングを進めた」と堀氏。具体的に、ペットの飼い主からの相談に、国会議員を介して省庁や自治体につなげた事例を紹介した。

 「ここ10数年でもっとも長く日本に滞在している」と話した伊藤氏。「誹謗中傷もあって海外に拠点を移したので、戻ってくるのは不安もあったが、残された課題やどんな情報が流れているか一つひとつ向き合う機会になった」。メディアでの性犯罪の伝え方について試行錯誤してきた伊藤氏は、「問題は可視化されないと解決されない。最終的に自分がメディアになるしかなく、それができる時代だが、そのためにいろいろなリスクを負わざるを得なかった」と振り返った。

 ソーシャルメディアについて、「個人で発信できるのはポジティブな部分だが、橋を架けた時、いろいろな方向から矢が飛んでくる」とした上で、「インターネットは情報が蓄積されていくので、数が多いともっともらしく見えるが、発信者は不確かだったり、溜まっていくと本当のことのように受け取られてしまうのが怖い」と弊害を語った。

 堀氏は「ジャーナリズムは政治的すぎる。そこに自分の思いはないと感じさせてしまっているのではないか。具体的に提示していくことが必要」と訴えた。伊藤氏も「メディアは架け橋であるべきだが、なれていない」と警鐘を鳴らす。これを受けて、瀬尾氏が「ソーシャルメディアでどんな社会を作っていくかが重要だ」と話した。

 フェイクニュースに対して、伊藤氏は「ある意味でエンターテインメント化している。個人やプラットフォームの責任も考えなければならない。ルールを問い直す時期」とコメント。堀氏は「世の中、そんなにドラマチックなことは起きない。感情的になる前に、本当はどうなっているか考えてほしい」と情報との向き合い方を提案した。

 最後に「現場に行くしかない。議論ではなく、情報が届かない人のために仕事をするのがメディアの役割」(堀氏)、「どんな架け橋になっていけるか。対話を諦めない」(伊藤氏)、「発信について考えがちだが、相手の立場や発言の裏側に想像を巡らす傾聴が必要」(瀬尾氏)と述べて、セッションを締めくくった。

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