現役時代は日本ハム(1990-2005)一筋で活躍した49歳の岩本氏。今回の動画では2005年オフに日本ハムを退団してから翌年1月に引退を決断するまでの経緯を語ったが、その中で当時楽天監督だった野村さんとの知られざるやりとりを明かした。
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プロ16年目・34歳だった2005年シーズンオフに日本ハムを自由契約となったが、楽天を率いる野村さんが自身の獲得に興味を持っていたという岩本氏。オフ期間中に行われた日本ハムの球団納会を途中で切り上げ野村さんと会食の場を持った際も、「ちょっと一緒に苦労するか」と誘いの言葉をもらっていたという。
しかし、翌年の自主トレ中に足首をねんざするアクシデントに見舞われた岩本氏は、この負傷を「野球の神様が現役を退けと言ってるんだな」と考え現役引退を決断。すぐに前所属球団である日本ハムに引退の旨を伝え、その後野村さんにも「縁がありかけた話ですけど、ユニフォームを着て野球をご一緒することはなくなりました。大変申しわけございません」と謝罪の電話を入れたという。
岩本氏によると、当初契約についての連絡だと思っていた野村さんは「悪いけどまず(春季)キャンプに参加してくれるか?(契約の話は)そこからにしよう」と楽天の春季キャンプ参加を誘ってきたが、引退の旨を伝えると「そうか、俺も力になれなくて悪かったな」と岩本氏の決断を尊重。続けて、「じゃあ1つだけ、君にアドバイスを言わせてもらっていいか?」と言ってきたという。
「はい、何でしょうか」と答えた岩本氏に対し、野村さんは「本をたくさん読みなさい。文字を読みながらいろんなヒントを野球知識に加えていったら、もっともっと野球の知識や視野が広がるんだよ」と、読書をして幅広く知識や教養を身に付けるようにとアドバイス。こうした言葉を伝えた後、最後には「頑張れよ」と引退後の活躍を願ってくれたという。
野村監督も含め、自身のことを思ってくれている人はたくさんいるんだと引退後に感謝の思いが強くなったという岩本氏。「野球界にどうやって恩を返していこうか」という思いを胸に、野球解説者に転身したと語っていた。
岩本氏はこの他にも引退を伝えた際の日本ハム側の反応や、解説者転身1年目の2006年シーズンにあったという印象的なエピソードについて動画内で語っている。
今回の動画を受け、ネット上には「約束を反故にされたようなものなのにこんなこと言えるノムさんは器が大きい」、「知識や理論がちゃんとしてれば解説なりコーチなりがやりやすくなるって意味なのかな」、「そういや古田(敦也/元ヤクルト)も昔ノムさんから『知識がピンチを救う』と教わったって言ってたな」、「岩本は今や人気解説者の1人だけど、ちゃんとノムさんの言葉を守ってるから仕事途切れないんだろうな」といった反応が多数寄せられている。
引退後現在に至るまで、野球解説者として様々なメディアで活躍している岩本氏。今も第一線で活躍できているのは、野村さんの“金言”のおかげでもあるのかもしれない。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
岩本勉氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UC7CeOxGzcmmxbf_Oacxf7sg