>>前編:<実録!不倫カップルの顛末>園児の父親と禁断の恋に落ちて<<
「園の運動会があったんです。そこで初めて、T也さんが家族と一緒にいる光景を見ました。子どものY太君はかわいいし、奥さんは美人だし、理想の家族という感じで…。見ているうちに無性に悲しくなり、涙が出てきてしまいました。トイレに駆け込み、体調不良を理由に、運動会にはそれ以上参加しませんでした」
有菜さんはT也さんのことを忘れようとするものの、Y太君とは接しなければならない。もどかしい気持ちが次第に変化し、あってはならない事態を引き起こしてしまう。
「夕方、仕事帰り、偶然公園でY太君と奥さんが遊んでいる姿を見かけたんです。私は、今しかないと思いました。奥さんに、すべてを伝えようと。そして、Y太君が離れた隙を見計らい、奥さんに詰め寄り、不倫の事実を伝えました。ところが、奥さんは微動だにしませんでした。“そうですか”とひと言残して、Y太君と帰っていきました」
「それから、T也さんからも一切音沙汰なし。完全に敗北した気分に。あまりにみじめな気持ちになりました。そこで、せめて一矢報いたいと思ってしまったんです。私は、園長室に出向き、園長に向かって、園児の父親と不倫をしていると伝えてしまいました」
「園内は一時騒然となりました。ただ、絶対に外部には漏らしてはいけないとかん口令が敷かれ、表向きにはいつもの平穏な園の日常。私は一切口を挟むことができなくなり、園長と副園長、T也さん夫妻の間だけで話し合いが行われました。私には謹慎処分が言い渡されましたが、そのまま仕事を辞めました」
女の意地というものが、誤った方向に働いてしまったのだろう。有菜さんは現在アパレル関係の仕事に就き、「もう保育士に戻ることはない」と言った。
文/恋愛ライター・塚田牧夫
写真/Omer Unlu