10月11日のナゴヤドームでの対ドラゴンズ戦。今シーズン、15度目の先発マウンドとなったこの日、6回を投げ4安打2失点でマウンドを降り5敗目を喫した。きっちりと試合は作ったもののジャイアンツは無得点のまま敗れ、結局、戸郷が敗戦投手と記録されることとなった。
序盤はストレートの球威が勝るなど、立ち上がりからテンポよくアウトを重ね、4回1死まではパーフェクトに抑えていただけに、中盤での失点、さらには打線の援護を得られなかったことが悔やまれる。
「1点が重い試合だった。もっと粘らなければならなかった」。反省の弁と共に、試合を振り返っている。
自身、先発では最短となる、3回持たずに降板となった前回登板の阪神戦に続いて白星を手にすることは出来ず、9月以降、6度の先発登板で1勝のみという結果からも、ここにきて安定感を欠いている印象だ。
また、この日の前日には、同じく新人王を狙うカープ・森下暢仁が戸郷の勝ち数に並ぶ8勝目を挙げている。現状、防御率や奪三振数、投球回数を見る限り、森下がやや有利という声が多い中ではあるが、同じ先発投手同士であれば、やはり勝ち数を上回ることが大きな意味合いを持つだろう。さらに、昨年のパ新人王、ソフトバンク・高橋礼の12勝や、11勝を記録し一昨年のセ新人王に輝いたDeNa・東克樹の様に、2桁という数字も一つの目安となることは明らかだ。今後、残された登板機会において白星の上積みが不可欠といえる。
2020シーズン、ジャイアンツ先発投手陣において、エース菅野智之に次ぐ存在としてローテーションを守り抜いてきた。もちろん、プロ2年目というキャリアを踏まえると、ここまでの働きは数字以上の価値を生み出してきたことは間違いない。ただ、首脳陣やチームメイトからの期待に応え、更なる信頼を得ていくために、背番号13はより高みをめざす必要がある。そして、そう遠くない将来、ジャイアンツの次のエースとなる姿を思い浮かべている、数え切れない程のファンのためにも。
チームはマジックを順調に減らし続けていて、2年連続でのペナント制覇が近づいてきており、その先には昨年のリベンジとなる大舞台が待っている。プロ野球人生において一度だけチャンスが与えられる新人王獲得とともに、20歳の右腕・戸郷翔征に課せられる大仕事はまだまだ残されている。(佐藤文孝)