そんな中、海外で132年前に撮影された最古の映像が4K画像にリマスターされ、話題となっている。
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現在最古のフィルム動画とされているものは、1888年10月14日に撮影された「ラウンドヘイの庭の場面(Roundhay Garden Scene)」。撮影実験、もしくはカメラのプロモーションとして撮影されたもので、全体の長さはわずか1.66秒、フレーム数は20しかない。撮影したのはフランスの発明家であるルイ・ル・プランス。彼の息子や義理の両親、友人の4人が歩いていくのみの光景である。しかし「人間が映っている映像」としてはこの動画が世界初である。
こちらの動画を、古い映像をリマスターするYouTuberのDenis Shiryaev氏が4K動画に変換。130年前の動画が色鮮やかな動画として生まれ変わったのである。
さて、この動画には少し不気味な背景もある。この動画には前述の通り、撮影者であるル・プランスの近縁者らが登場しているのだが、動画に映っている高齢の女性(ル・プランスの義母)はこの撮影の10日後に亡くなっている。もしかしたら、高齢で体調が悪かったのかもしれない。
さらには、この動画が撮影されてから2年後には撮影者のル・プランス本人も謎の失踪を遂げてしまうのである。
1890年9月、彼は自分で特許を取得した単レンズカメラを売り込もうと、アメリカに向かった。その後、フランスに戻ってから各地を移動し、9月16日にはパリで友人と会う予定だったという。しかし、友人らの前に彼が現れることはなかった。荷物もなく、遺体すらも見つからない「蒸発」という単語がぴったり合う状況となってしまったのである。
なぜ、彼が失踪してしまったのか。特許を取得したものの、経済的に苦しかったため失踪し自殺した、という説も出たが、後の研究で事業が利益を上げていたことが判明しており、経済苦説は否定されている。発明したカメラの特許や金銭絡みのトラブルで殺害されたのではないか、という説も出たが、いずれも玉虫色のまま。フランス警察やスコットランドヤード、家族らが彼の行方を必死に探したが、何の証拠も見つからず迷宮入りとなってしまった。
なお、2003年になってパリ警察の記録の中から、ル・プランスに似た人物の溺死体の写真が発見された。記録によれば1890年に発見され、撮影されたものだそうだが、ル・プランス本人だったのかは明らかになっていない。
初めて動画を撮影したことから「映画の真の父」と呼ばれているが、ミステリアスな逸話と数奇な運命に満ちた人物であるといえよう。
関連動画
[60 fps] The oldest recorded video, “Roundhay Garden Scene”, England,1888
https://www.youtube.com/watch?v=Fxd8XJ_J0Gc