7月21日、中日に三塁すら踏ませない圧倒的なピッチングで完封勝利し、巨人の勝率はついに7割を超えた(17勝7敗1分)。2位・東京ヤクルトとのゲーム差は「3」。数字的にはそんなに開いていない感じだが、今年は120試合制である。「直接対決で3連勝する」のならともかく、3ゲーム差を縮めるのは2週間以上を要するだろう。
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「菅野は7月3日の中日戦(東京ドーム)から23イニング連続無失点です。順調に行けば、次の登板も東京ドームなのでやってくれそうですね」(ベテラン記者)
東京ドーム。この発言は意味深い。中日打線を完封した7月21日は、今季5度目の先発マウンド。絶好調の菅野に唯一、勝ち星がつかなかった試合がある。自身2度目の先発マウンド、6月26日の神宮球場だった。菅野は「神宮球場が苦手」なのだ。
6月26日の神宮球場での対ヤクルト戦、敗戦投手にはならなかったが、6回途中で降板。それも、6回のマウンドだけで5失点という屈辱に見舞われている。同球場での通算成績を調べてみたが、計10試合の登板で1勝6敗、防御率5・76。“鬼門”と言っていい。
「神宮が苦手な理由? 菅野は東海大学の出身ですよ。同大学が所属する首都リーグでの好投し、今日があるわけです。リーグ戦の舞台だった神宮球場がキライということは考えにくい。神宮が苦手なのではなく、ヤクルト打線が苦手なのでは」(プロ野球解説者)
もっとも、東京ドームや他球場でヤクルトと対戦した時、防御率、勝率ともに苦手というほど悪い数値は出ていない。本人も神宮球場で勝てないことは強く意識しているという。こうした情報を聞くと、ヤクルトが巨人の独走を阻止する可能性もある。
「神宮で痛い目にあった時のキャッチャーも大城でしたね。中日を完封した7月21日も大城。どちらも大城とのバッテリーです」(前出・プロ野球解説者)
関係者によれば、神宮でKOを食らった後、菅野は大城のリードに“注文”を出したという。2ストライク後の配球が特にそうらしいのだが、「ウィニングショットなのか、ボールカウントでいいのか、分かるように」と伝えた。
巨人には小林、炭谷といった捕手もいるが、投手に出すサインは同じだ。同じサインを出されて、小林、炭谷からは伝わって来て、大城からは伝わって来ないものがあるとすれば、それは経験の差、大城の未熟さによるものだろう。
「大城は打撃優先の捕手です。小林、炭谷とは異なる配球をするので、他球団のスコアラーは、目下、それを研究中」(前出・プロ野球解説者)
完封劇の舞台となった東京ドームだが、菅野登板の前日(20日)、3年がかりの大型改修工事が発表された。センターバックスクリーンの超大型化、完全キャッシュレス化などがピーアールポイントとして紹介されたが、マウンドの造り(傾斜の具合)、人工芝などプレーに影響する部分に関しては“現状維持”ということのようだ。大城の教育もそうだが、菅野が投げやすいとしているマウンド、巨人は菅野のチームに変貌しつつある。(スポーツライター・飯山満)