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ショッピングビルで幻覚を見た少女が店員を刺殺!【背筋も凍る!女の事件簿】

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 かつて大阪府南区難波にあった某レジャービルの地下2階には、大きな池があった。
 多くの店が立ち並ぶこのビルの池では、ショッピング客の憩い場として機能していたのだが、この池を舞台に衝撃的な事件が発生したのは、今から41年前の1979年2月のことであった。

 1979年2月12日13時頃。池の近くの婦人用トイレで「キャー!」という女性の声が聞こえた。しばらくして、顔に血がべっとりついた若い女がヨロヨロとトイレから出て来て、「トイレで人を刺した…」とポツリとつぶやいたという。

 ​>>女性が男性を線路へ突き飛ばし!?西船橋駅ホーム転落死事件【背筋も凍る!女の事件簿】<<​​​

 周囲は次第にパニックになり、騒ぎを聞きつけた巡回中の警察官が駆け付けると、そこには血まみれになりトイレで倒れていた女性、そして出刃包丁が転がっていた。
 警察は顔に血の付いた女を逮捕。トイレに倒れていた女性はすぐに病院へ運ばれたが、背中を何度も刺されたため、すい臓や十二指腸、胃などが著しく傷ついており、しばらくして死亡した。
いったい、この二人に何があったのだろうか。

 刺された女性は、このビルに勤める25歳の店員Aさん。そして、Aさんを刺したのは、なんと年齢僅か17歳の無職女性・Bであった。
 二人に面識はなく、犯行を目撃した人によると、Bが隠し持っていた出刃包丁を使い、Aさんの背中を突然刺したのだという。

 実はこのB、元は喫茶店のウェートレスをしていたが、素行不良で退社。また、同時期に覚せい剤にも手を染めており、何度か幻覚症状を見て、病院に運ばれ、補導されていた過去があった。
今回の凶行も、覚せい剤を使った幻覚から人を刺したもので、Bは逮捕後、「刑務所に入りたかった」「殺す相手は誰でもよかった」と口走っていたという。

 げに恐ろしき覚せい剤乱用による衝動的殺人であるが、いったい何故17歳の少女が覚せい剤に手を染めてしまっていたのだろうか。

 実は1970年代後半から1980年代初頭まで、大阪では一般市民を中心に覚せい剤汚染が広がっていたという。
 特に、高校生など若い学生の間ではグループ単位で、暴力団から覚せい剤や大麻などを手にする不良学生が相次いで検挙された事件もあり、また20代~30代の若い世代のトラック運転手やタクシー運転手などにも覚せい剤の売買が行われていたという。

 そのため、覚せい剤の大量摂取により、幻覚から犯罪を行う若者が例年よりも多く検挙されたのが1979年であり、本事件は「10代女性に広がる覚せい剤汚染」を世間に社会問題として強く訴えた事件であった。

 なお、この2年後には、同じく覚せい剤乱用から包丁を振り回し死亡者4人を出した「深川通り魔殺人事件」が発生。覚せい剤汚染の恐怖は、何気ない日常にこそ潜んでいることを改めて世間にアピールした。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)

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