この公開説教は、おふざけのない「ガチ」のトーンで行われ、岡村本人をはじめ多くの視聴者の心を打ったという。
『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』および前身番組である『ナインティナインのオールナイトニッポン』は現在、オールナイトニッポン史上最長放送記録を誇っているが、実はここまで問題が大きくなった失言は過去にはなく、番組開始以来、初めての不祥事と言えなくもない。
だが、放送中に不適切な発言があり、その日の生放送中に「訂正」がなされたというケースはある。2012年11月16日に放送された『ナインティナインのオールナイトニッポン』は冒頭、政治の話から始まった。この日は当時の野田佳彦首相が衆議院解散に踏み切った日で、この報道により各テレビ局の編成が大きく変動した日だった。
冒頭から岡村は「内閣のトップがまた代わるかも」という話題を切り出し、毎年のように総理大臣が交代する政府に言及。そして岡村は当時2006~2007年に内閣総理大臣を務めていた安倍晋三氏について「安倍さんって1回逃げた人ですよね」と茶化し、さらに相方の矢部も「お腹痛いといって…」と続け、岡村も「(お腹痛いの)治ったから、さあまたいくぞ!って感じなんでしょうが、もういいやって感じですね」と語った。
ところが、しばらくしてリスナーからメールで「安倍さんは潰瘍性大腸炎という難病と戦いながら公務に当たっていた。同じ病気を抱えてる人にも失礼では」という便りが届き、番組で紹介。岡村も矢部も「申し訳なかった」「ジョークのつもりだった」と丁寧に謝る様子が放送され、この時は特に問題にはならなかったようだ。
今年4月30日の放送で矢部は「岡村だけではなく、彼を甘やかせていたスタッフやリスナーも良くなかったのでは」と発言したが、2012年までは確かに、外部から間違いを指摘をしてくれたリスナーが確かにいたのである。
GW明けの放送からは、そんなリスナーを大事にするところから再スタートするかもしれない。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)