近年の「ナイトスクープ」は、松本の就任前から内容の劣化が指摘されてきた。番組初期から長年探偵を務めてきた桂小枝は、2019年6月のツイッターで「探偵ナイトスクープおもんない!情けない〜なんでこうなったの〜」と苦言を呈している。小枝が不満を抱いたのは、彼の得意としていたギャグ路線のネタが減り、感動系企画が増えた点にあると言える。確かに、詰めが甘い企画でも西田が感動の涙を流し、ほっこりとしたムードを出すことでお茶を濁していた部分があっただろう。松本新局長で、その体制がどう変わるかに注目されていた。
ただ、松本新局長に変わっても、初代局長の上岡龍太郎のように、ネタに対して厳しい「ダメ出し」をすることはなかった。さらに、感動系企画の分量も減ったようにも見受けられ、「泣く松本」が見られない点に不満を抱く視聴者も多いようだ。松本は現役のお笑い芸人としてトップを走っているため、今の段階では好々爺として「置物」のように司会者席に座る段階にない。「ナイトスクープ」という長寿番組が、松本を使い切れていないとも言えるだろう。
さらに、3月には銀シャリの橋本直探偵による「超危険な爆発ポテト!?」がオンエア。こちらは番組初期の名物企画である「爆発卵」の焼き直しである。最後には正しい調理法も紹介しており、初めから「爆発シーン」欲しさの企画であったと言えるだろう。
「ナイトスクープ」は、依頼者の内容を探偵が体を張って試行錯誤を繰り返していく「プロセスの面白さ」が魅力であったと言える。アクの強い探偵たちのキャラクターも生かされていた。芸人ではない越前屋俵太や立原啓裕の存在が、良いアクセントになっていたと言える。ただ、現在の探偵の並びは8人全員が芸人であり、そのうち吉本芸人が6人を占める。ネット上では「吉本芸人の松本局長への忖度がイタい」といった指摘もある。
かねてよりコアな視聴者からは評判が芳しくなった「ナイトスクープ」は、松本新局長で起死回生を果たせたわけでもないようだ。
記事内の引用について
桂小枝のツイッターより https://twitter.com/koedanokai2014