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「真面目なイメージなのになぜ」外出自粛できない日本人が後を絶たず、ギャップを感じるワケ

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 引き続き世界各地で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、日本国内ではいまだに「不要不急ではない外出」をする人が後を絶たない現状がある。
 外出の目的は、旅行に花見、ショッピング、カラオケ、繁華街での飲み歩き、近所の集まりなど様々で、老若男女を問わない。学生を含む若い女性の間では、「おしゃピク」といって、インスタ映えのためにおしゃれなアイテムを使用してピクニックをするという行為が密かなブームを見せるなど、新型コロナウイルスの脅威をまるで感じていないかのような人々の姿が話題となっている。

 こうした人々への街頭インタビューでは、「なぜ出歩くのか」と投げかけられる質問に対し、「自分は感染しない気がする」「実感がない」といった回答が多く見られ、危機感を持って自粛している人たちにとっては、彼らの危機感のない行動に対して危機感を覚えるといった状況がある。
 日頃のマナーの良さや大規模災害時の対応などが、世界的に評価されるほど真面目な印象が強いはずの日本人だが、なぜ今回のウイルス感染対策に対してはこうも楽観的でマイペースな行動をする人が多く見られるのだろうか。

 現時点では海外のように都市封鎖などが行われておらず、国家による大きな強制力がかかっていない日本では、通勤や買い物などで生活維持のために必要があって外出する人だけでなく、必要がないのに外出する人の姿もある。その様子を見て、「みんな自粛していない」と誤って解釈をした人が、「じゃあ自分も」と真似してしまうと、それを見た人が「じゃあ自分も」と続き、あってはならない協調性の連鎖を生み出してしまっている可能性が理由の一つとして挙げられる。
 このような、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という状況は、むしろ協調性が高いことで知られている日本人の特徴をよく表していると捉えることもできる。こうして生まれた危機感のない雰囲気は、「きっと自分は大丈夫」、「ちゃんとマスクをしているから大丈夫」という過剰な正常性バイアス(火事や災害などで危険な状況にあっても、大したことではないように思えたり、根拠はなくても自分だけは助かるように思えてしまうような心の働き)にも影響を与える。

 また、外出している人々の姿を見て、「不要な外出かもしれないし必要な外出かもしれない」という複雑な理解には至らず、「自粛していない」と端的に捉えてしまうあたりは、群集心理の特徴の一つである「思考が単純になりやすい」といった傾向に当てはめることができる。特に、自粛によるストレスがたまっている状態では、自粛していない人に対して批判的な評価が向けられやすくなる。
 それ以外にも、規制された状況に抗いたい若者や度胸試しを披露したがる自己顕示欲の強い人、台風や雷といった非日常的な自然の脅威にテンションが上がるタイプの人といった少数派の人々も、不要不急の外出を自粛しない人々の成員として含まれているだろう。

 ただ、「真面目だと思っていたのに自粛をしない日本人が多い」ということ自体が思い込みでもある。こうした、ステレオタイプな捉え方をすることを「タブロイド思考」という。「日本人は真面目なはずだ」あるいは「自分が自粛しているのだから他の人も自粛しているだろう」という思い込み、偏見や固定観念があるからこそ、イメージと現実の状況との間に大きなギャップを生み出し、その意外性が自粛していない人や危機感のない行動をする人の存在の印象を強く与えてしまっているところもある。

 いよいよ7都府県に向けて緊急事態宣言が発令された今、これからの全国的な自粛ムードの高まりに期待したいところだ。

文:心理カウンセラー  吉田明日香

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