会見で榊原CEOは「断腸の思いだが、ファンの皆さんや選手たちの安全を担保出来ない」と中止の理由を説明。まだ未発表だった5月17日の宮城・仙台大会(会場は非公表)も中止にするという。また、RIZINバンタム級チャンピオンで、先日世界最大の総合格闘技団体アメリカのUFCと契約したマネル・ケイプについて「引き抜かれました」とした上で、「選手としてビッグオファーが来ればワクワクするのは当然のこと。UFCで活躍して戻って来ると信じたい」と送り出す気持ちを明らかにしつつ、「UFCの視界にRIZINが入ってきた」と述べている。続けて、「あまり契約で縛りたくないんだけど」とした上で、「チャンピオンのあり方に関しては考えていきたい」と語り、バンタム級王座は自主返納され、再びトーナメントを開催する予定とのこと。
「次の目標は夏。夏に格闘技のメガイベントをやりたい」
榊原CEOは「我々のスケジュールには予定してなかったことなんだけど」と前置きをしてから、真夏の格闘技オリンピック開催を提唱した。「オリンピックが1年かそれ以上延期になる中で、その抜けた穴をすべて埋めることは出来ないかもしれないけど、非オリンピック競技の格闘技が夏にメガイベントを選手、主催者、ファンと一緒に作っていきたい。オリンピック延期で抜けた7月から8月の2週間のどこかで空いた穴を埋める。さいたまスーパーアリーナのスタジアムバージョンでやりたい。もちろん安全が確保された中でですね。この4月から6月を準備期間に充てたい」とし、大会の名称や見たいカードなどをファンから募っていく意向。「実現するかはさておき、他団体との交渉も全力でやりたい。格闘技が一つになって、今回の新型コロナウイルスで溜まったものを爆発させるような日本発、世界に届くようなイベントにしたい」と熱く語った。
また、3月22日にさいたまスーパーアリーナ大会を開催したK-1に関しても、「他人事とは思えない」と言及。「非難を浴びることが多かったが、社会的現象として自分ならどうしたかなと考えさせられた。プロモーターとして考えると、億単位の負担を引き受けるのは無理なんですね。明日は我が身だと思ったし、断腸の思いだったと思います。これは一つのアンチテーゼとして考えるべき課題かなと思います。国の補償は必要。RIZINはフジテレビさんやスポンサーさんがいるので、RIZINを潰してでもやれなかったと思う」とK-1を気遣った。「今は日本に限らず世界的に道場やジムが使えない状況」であることから、選手がトレーニング出来ないのも、格闘技界にとって大きなダメージとしてのしかかっている。
「今は耐える時。明けない夜はない」
榊原CEOはそう語ると、真夏の格闘技メガイベント開催に向けて、ファンの支援を呼びかけた。テーマは「格闘技オリンピック」として、RIZINのナンバーシリーズとは別枠で開催することで、RIZINと交流がない他団体も参戦しやすい環境づくりをファンの知恵や支援を得ながら構築していく。中止になった2大会に関しても、「プロ野球やJリーグといったメジャースポーツが開幕してからになりますが、年内のどこかに入れていきたい」と可能であれば年間6大会というスタンスは崩したくない意向だ。「3か月無収入ですから、国に支援して欲しい」と正直な気持ちを明らかにした榊原CEOだが、無観客試合は考えてなかったようで、「他のスポーツの無観客試合をテレビで見て、こんなに寂しいものになってしまうんだと。RIZINはファンの皆さんが会場に来てもらって完成するものだと思う」と今後もライブ感を重視しながら、メガイベント開催のタイミングを見極めていく。開催されれば、全国から格闘技ファンが集結する凄いイベントになるはずだ。
(どら増田)