『シンデレラトーナメント2020』
▽24日 東京・後楽園ホール 観衆538人
ブシロード傘下の女子プロレス団体スターダムが、毎年恒例の春の最強“姫”決定戦『シンデレラトーナメント2020』を24日、東京・後楽園ホールで開催した。
全16選手が参加する中、1回戦では渡辺桃、ジュリア、小波、朱里、中野たむ、刀羅ナツコが順調に1回戦を突破する中、林下詩美と舞華の因縁対決は、10分時間切れ引き分けのドローで両者失格に。1回戦から準決勝までは、10分1本勝負、時間切れ引き分けやオーバー・ザ・トップロープによる場外転落は失格になるというゲーム性の強いワンデートーナメントなだけに、引き分けによる失格は痛い。
1回戦の最後は、新日本プロレス1.4東京ドーム大会でのタッグ戦以来となるワールド・オブ・スターダム王者の岩谷麻優と、恋愛バラエティ番組『テラスハウス』に出場し知名度が上がってきている木村花の一騎討ち。花には来場していたテラスハウスの仲間からも熱い声援が飛んでいた。試合は花が強烈な張り手を見舞い、スタートダッシュに成功する。最近は長期戦が多く、試合の終盤に盛り返すスタイルの岩谷は出鼻を挫かれたかのように見えたが、花の勢いに乗せられたのか激しく応戦。お互いに場外転落を狙うも、花がコーナー最上段で卍固めを決めると、耐え切れなくなった岩谷の体勢が崩れてしまい、両者同体で場外へ転落したため、この試合も両者失格となった。
試合後、花は充実した表情を見せながら、「岩谷麻優ならやっても大丈夫と思って、普段やらないことをやったんですけどね。今までモヤシとか言ってましたけど、きょうは全然違うなと思った。今度はゆっくり試合をしたい。(岩谷の赤いベルトは?)もちろん!狙っていきます」とタイトル挑戦に意欲を見せると、岩谷は「去年は怪我で出られなかったので、今年は優勝して久しぶりにドレスを着たかったけど…コーナートップから卍固めをやられたら、花は体重何キロか知らないけど、耐えられない。気づいたら転落してたんですよ。でも、向こうも落ちたんで、自爆ですかね。同時に相手も落ちたのは良かった。花のあの肉付きを見たらヤバかった。そういう成長が見られたのは良かったですね。またやりたい。木村花はいいライバルになると思う」と花の存在を視界に入れたようだ。
「花とは初めての東京ドームで、最初に手を合わせて、初めてフォールを取ったりしてるので、やるならいい舞台で闘いたい。今年のトーナメントは悔しい。私は長期戦が得意なんですよ。10分じゃ足りないかなという不安があったけど、10分以内に決着がついた。私、親知らずを2本抜いてて、最初に張り手をしてきたとき、潰しにきてるなと思いましたね(笑)。この親知らずの痛みは張り手1発で倒せますから。赤いベルトを持ってるので。岩谷麻優を潰すという気持ちのある選手がいるということは、トップ選手の証。追われる自分が好きですね」
彩羽匠、ジャングル叫女、そして木村花と、岩谷包囲網が出来つつある状況を岩谷は「楽しい」と言い切った。女子プロレス界の棚橋弘至の異名を持つ岩谷は、やはり強い選手たちに追われ続けるのだろう。
(どら増田)