今回の一件のきっかけとなったのは、あるツイッターユーザーの投稿。この投稿には昨年6月に『報道ステーション』(テレビ朝日系)で放送された球数制限特集の中で、アメリカの指導者が「勝つことより子供たちを怪我なく成長させる方が大切」などと語る部分を収めた約40秒の映像が添付されていた。
ダルビッシュは9日午後11時49分、前述のツイッターユーザーのツイートを引用リツイート。その上で、「子供達の身体を考えたら、こうなると思うんやけどなぁ」と投稿した。
続けて、10日午前0時7分には投げ込みなど過度な練習を課す指導法に対し、「身体に必要以上に負荷がかかり、人によっては選手生命を絶たれる。それを理解した上で強要するならそれは虐待ではないか?」と苦言を呈した。
さらに、ダルビッシュは同27分にも投稿し「『練習キツすぎてもう嫌だ』『今日の練習楽しみ』皆さんはどっちのセリフを子供から聞きたいでしょうか?」と問いかけた。これに対しフォロワーからはさまざまな意見が寄せられていた。
今回、少年野球の指導法について持論を展開したダルビッシュだが、指導法を巡っては以前に元巨人・張本勲氏と間接的に議論したこともある。
昨年7月、大船渡高校・佐々木朗希(現ロッテ)が、監督の判断により夏の岩手県大会決勝で登板を回避。この件に対し張本氏は自身が出演する『サンデーモーニング』のコーナー「週刊・御意見番」で、「最近のスポーツ界で一番残念」「怪我を怖がるならスポーツをやめたほうがいい」などと切り捨てた。
張本氏の発言を知ったダルビッシュは、同月28日に自身のツイッターに投稿。張本氏の発言を取り上げる記事を引用し、「シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う」と批判した。なお、「シェンロン」とは人気マンガ『ドラゴンボール』に登場するキャラクターで、願いを何でも叶えてくれる龍のことである。
その後、張本氏は8月3日に公開された『週刊文春デジタル』(文藝春秋社)のインタビュー内で、ダルビッシュに対する質問に「男だったらあまりべらべらくだらんチンピラみたいなことしゃべらないで、ツイッターに書き込まないほうがいいよ」などと反論。
すると、ダルビッシュは同日にその記事を引用し、「ずっと停滞していた日本球界を変えていくには勉強し、今までのことに疑問を感じ、新しいことを取り入れていく。その中で議論というのは外せないツール。それを黙って仕事しろとはまさに日本球界の成長を止めてきた原因って気づけないのかな?」とさらに応戦した。
球界の大物OBにも臆せず議論を繰り広げるほど、子供たちを取り巻く環境を案じていることがうかがえるダルビッシュ。こうした発言が現場を変えることは果たしてあるのだろうか。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
ダルビッシュ有の公式ツイッターより
https://twitter.com/faridyu