「ペナントレースの開幕戦を延期したのは、無観客だと経営面で厳しいというのもあったと思います。ただ、選手を調整させる時間か増えたので、それをプラスに転じる事ができれば」(ベテラン記者)
調整の日時が増えたことで、「高卒内野手の開幕一軍入り」が見られるかもしれない。
東北楽天ゴールデンイーグルスのドラフト2位ルーキー・黒川史陽の評判が良い。もともと打撃センスは高かったが、オープン戦でもプロの先輩投手に力負けせず、結果を出している。守備でも、プロのスピードに対応できていた。
「久米島での一次キャンプでは、三木肇監督が『MVPをやりたい』と、そのガンバリを称賛していました」(関係者)
この時、実は「三木監督の忖度か?」の冗談も飛んでいたのだ。
どういう意味かというと、黒川の実父・洋行さんは、三木監督の上宮高校時代の先輩にあたる。全国制覇を成し遂げた93年センバツ大会時の主将で、2学年下の三木監督からすれば、きっと、“直視することもできないほど”だったはず。そのご子息を預かることになったため、三木監督は“黒川先輩”にいろいろと連絡を入れていたのではないかというのだ。単なる邪推だが…。
息子・黒川がキャンプ、オープン戦で結果を出したことで、「開幕一軍」の可能性も高まってきた。単なる結果論にすぎないが、佐々木朗希、奥川恭伸よりも先に一軍デビューということになる。
「高校卒の野手がこんなに早くプロの一軍に出てくるなんて、大変なこと。大抵の高卒野手は金属バットと、木製バットの違いに悩むものなんですが…」(前出・同)
黒川の母校・智弁和歌山の関係者によれば、彼は木製バットでも練習を重ねていたという。金属バットは試合本番だけで、勝敗がさほど重視されない練習試合では木製を使うこともあったそうだ。多分、黒川自身、プロ志望が強く、その準備もしていたのだろう。
「木製バットに対応できれば、一軍昇格も速いというアドバイスはお父さんからされていたみたいです」(球界関係者)
高校野球から上の年齢、つまり、大学、社会人のアマチュア野球も木製バットを使用している。また、U-18などの国際大会も“木製のみ”と決まっている。
高野連は近年中に現在の金属バットの使用を止めさせ、低反発の金属バットを導入する計画も温めている。個人的には木製にした方が良いと思うが…。
父・洋行さんのDNAを持つ黒川の姿に、三木監督は「先輩の姿」を思い出しているのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)