名目上「笑顔で」と言われても、店員も人間。機嫌が良くない場合や体調不良、そして客の迷惑行動などを目にすれば笑顔は消え、眉間にシワ寄せたくなるもの。そんな表情に難癖を付けたモンスタークレーマーがいる。
事件が発生したのは、2016年1月3日午前5時過ぎ。鹿児島県枕崎市のコンビニで、生花店を経営する56歳の男がレジで会計後、対応した44歳の店員に「笑顔がない」などと、因縁にも似たクレームを入れる。腕っぷしに自信があったのか、男は店員をコンビニの外に連れ出すと、土下座を強要したうえ、腹部を蹴り上げ、腎臓を損傷する怪我を負わせる。当時、店には2人以外に客や店員がおらず、止める人物がいなかった。
犯人の男は店の常連だったそうで、生花店経営者として歪んだ正義感を持っていたのか、笑顔を強要した様子。口頭注意でも越権行為だと思われるが、土下座を強要したうえ暴力振るうことは、明らかな「やりすぎ」である。この事件後、被害男性が警察に相談し、事件が発覚。男は傷害と強要の容疑で逮捕された。
このニュースが流れると、「意味がわからない。暴力団でもこんなことはしない」「弱い人間をいじめて楽しんでいる。卑劣だし許せない」「無愛想な店員にイラっとすることは自分もあるが、暴力や土下座は論外」と怒りの声が噴出することになった。
逮捕された男は経営者であり、接客について持論を持っていたのかもしれないが、「笑顔で対応しなければいけない」というルールは、少なくともコンビニエンスストアにはない。男の行為は、単なるモンスタークレーマーによる暴行にほかならない。