「キャンプ初日にも、『アレ!?』と思うシーンがあったんです。根尾は昨秋キャンプから外野の守備練習を始めています。シートノックではセンターでスタートしたんですが、途中からショートに回るよう、指示されたんです。オフの台湾リーグでもずっと外野を守っていたし、ショートを守るのは久々では?」(スポーツ紙記者)
紅白戦でも、ショートを守らせたのは首脳陣が与えた試練なのかもしれない。
ノーヒットに終わった打撃に関しても、こんな見方がされている。ネット裏にいたライバル球団のスコアラーがこう言う。
「第一打席の対戦ピッチャーが柳裕也(19年11勝7敗)、第二打席はローテーション入りを目指す3年目の山本拓実。根尾を抑えてアピールしてやろうと必死でしたよ。ちょっと気の毒な面もある」
とは言え、一流と呼ばれる選手はそんな本気モードの対戦も乗り越えてきた。
根尾にとって、乗り越えなければならない壁は、これだけはない。与田監督は2月7日に予定されている社会人チームとの練習試合を指し、ドラフト1位ルーキーの石川昂弥内野手(18)の起用を示唆している。「状態が良ければ」と前置きしていたが、地元愛知県出身、将来、打線の中核を担う逸材である。“顔見せ”も含めて、試合に出してくるだろう。
「石川の守備ですが、シートノックを見る限り、まだプロのレベルではありません。与田監督は打撃優先で若手を使っていくつもり」(球界関係者)
この打撃優先は根尾にもあてはまるそうだ。石川はフリーバッティングで快音を鳴らし続けている。力ではなく、7割程度の力でスイングしているのに、外野ネットに打球を何本も直撃させていた。天性の長距離ヒッターであり、このバッティングを見せられると、「守備がダメでも使っていく」という与田監督の気持ちも分からなくもない。
「プロは結果が全て。根尾は早いうちにバットで結果を出さないと石川に追い抜かれてしまうかも。もっとも、ヒットを打てば、与田監督は打撃優先で若手を使っていく構想なので、一軍帯同が決まりますが」(前出・スポーツ紙記者)
久々に守ったショートの守備だが、無難にはこなしていたが、ハッキリ言って、京田の方が見ていて安心感がある。しかし、外野ではなく、ショートで起用されたのは、「バットで結果を出せばスタメンもあり得るので、内野、外野の両方を準備しておけ」という指揮官からのメッセージではないだろうか。
新人・石川の打撃に関する評価が高い。根尾はキャンプ中盤までにバットで結果を出さなければ、後輩に追い抜かれてしまう。まさに正念場だ。(スポーツライター・飯山満)