しかし、気になる情報も明かされた。挨拶後、ロッテ首脳陣は取材陣に「怪物育成のプラン」を質問され、こう答えている。
「24時間体制を整え、佐々木クンの体をしっかりとサポートします。パフォーマンス的にも相談するつもりで…」
大学病院とも提携し、メディカル、フィジカルなどを含めた万全の医療体制を構築していくという。佐々木個人のためとなれば、エコ贔屓以外の何物も無いが、全選手が対象のようだ。プロ野球界は大物新人の入団ともに育成システムが見直されるようだ。
昨季、根尾昂(19)の指名抽選に成功した中日もこんな改革を行っていた。
「食生活が見直されました。シーズン中の遠征先宿舎での食事を始め、ビジター球場やキャンプのケータリングの食事の中身など、専属栄養士を加えて改められました」(名古屋在住記者)
与田剛監督(53)は「疲れは内臓から来る」の持論だった。専属栄養士のいる侍ジャパンのコーチも経験し、“食育”の重要性をさらに深めたのだろう。
「昨季、ロッテが1位指名した藤原恭大(19)は入寮の際、40万円の電動リクライニングベッド、100万円の超音波治療機器を持ち込み、関係者を驚かせました」(スポーツ紙記者)
放っておいても、自己管理が徹底している選手はメディカルケアができるというわけだ。藤原の入団以降、千葉ロッテは怪我防止に対する意識を変えたとも聞くが、これが選手全体に伝わればいいのだが…。
佐々木と面談した他チームのスカウト、指名に失敗したい球団スタッフからこんな話も聞かれた。
「彼は大人しい。友人たちの前ではよく喋るようだけど、練習やグラウンド外の自己管理にはあまり関心がないみたい。何に対しても受け身の姿勢が気になる」
1年先輩になる藤原、独立リーグの不十分な練習施設から這い上がってきた角中、育成から支配下を勝ち取った西野、他球団選手との自主トレで成長のヒントを得た種市など、話を聞くだけでも勉強になる先輩はたくさんいる。令和の怪物にとって、医療メディカルのサポートも大切だが、まずは“意識改革”からスタートすべきだろう。
(スポーツライター・飯山満)