今年5月25日、AKBが岩手県滝沢市の岩手産業文化センターで開催していた握手会のイベントにおいて、のこぎりを持った男がグループのメンバーである川栄李奈と入山杏奈、そして2人を守ろうとした男性スタッフを切りつけ負傷させたのだ。
周囲にいたスタッフに取り押さえられ、警察に殺人未遂の容疑で現行犯逮捕され、現在公判中なのが青森県十和田市の無職・梅田悟被告。切りつけられた3人は骨折や裂傷を負い、病院へ搬送されてただちに縫合手術を受け事件翌日に退院。しかし、川栄と入山はしばらく療養を要し、事件後段階的に活動復帰を果たしたものの、しばらくの間負傷部位をギプスで固定したまま芸能活動を行うことになった。
「梅田被告は今年1月に失職しニート状態。逮捕後は犯行動機について、『テレビでAKB48を見て「収入が多い」「自分とは正反対」などと不満に思った』と供述。5月に岩手県でAKB48の握手会が行われることを知ってその参加券を入手し、自宅ののこぎりにカッターナイフの刃を貼りつけるという改造を加え、参加者の列が短かったレーンを狙って犯行に及んだ。しかし、動機がいまいち曖昧だったため、逮捕後に精神鑑定が行われたものの、責任能力が問えると判断され、傷害罪および銃刀法違反罪で起訴されることとなった」(事件を取材した記者)
事件に関する報道では、AKB48の握手会そのものや、握手会の参加券をCDに封入するAKB48の販売手法が絡めて扱われ、こうした報道の一部に対する批判や、その批判を過剰だとする意見が出るなど賛否両論が巻き起こった。
事件後に行われた6月7日実施の総選挙と翌月8日実施のコンサートでは7万人を金属探知機で検査するという措置が取ら、握手会イベントは、6月末までに実施が予定されていたものが延期となり、7月から厳戒態勢のもとで再開されるなど警備体制が見直しされたのだが…。
「特に地方の握手会の警備体制の甘さは以前から指摘されていた。起こるべくして起こった“人災”だが、水面下では醜い各方面への責任のなすり付け合いが繰り広げられた。メンバー2人は晴れて復帰したものの、2人以上に重傷を負っているという男性スタッフが今どうしているのかが気になるところ」(同)
梅田被告の初公判は11月4日に盛岡地裁で行われた。12月1日に行われた第2回公判で検察側が読み上げた調書によると、川栄は握手会で並んでいた梅田被告の様子を見て「目がおかしいと思った」と不安を抱いたそうで、梅田が凶行に及んだ後は「殺されるかもしれないと思い床にしゃがみ、はうように逃げた」と“死の恐怖”を感じたことも赤裸々に告白。入山は「犯人を絶対許せない」と怒りを露わにしたという。
しかし、梅田被告の“罪の意識”は薄いようで、被告人質問ではAKBメンバーを選んだ理由について「何となく」、「適当です」とあいまいな答えを繰り返したという。
次回公判は1月8日。それなりの重い刑が下されそうだが、被害を受けた3人の“心の傷”がなかなか消えることはなさそうだ。