スタートダッシュに成功したのは、天山広吉&小島聡のテンコジだった。Aブロックに入っているテンコジは、開幕戦の11・18後楽園大会で、いきなりIWGPタッグ王者組のタマ・トンガ&タンガ・ロアを破ると、続く11・20高崎大会で内藤哲也&ルーシュを、11・23愛知大会で棚橋弘至&ジュース・ロビンソンを破り、開幕から無傷の3連勝を飾っている。
「いまの内藤。“神ってる”っていう言葉。おまえにピッタリな言葉だよ。本当にすべてにおいて神がかってるよ。だけどさ! テンコジは悪いけど、そこをもうちょっと上のほうに行ってるんだ。俺の言葉で言えば、“仏ってる”って言うんだ。な? 神ってるより、もうちょっとだけ上なんだ。25年やってきて、俺と天山はもう悟りを開いちまったんだ。慈悲深い、悟りを開いたこのタッグチーム。デビューして25年。そして、テンコジとして組み始めてたぶん18年ぐらいになるんだ。途中別れても、またくっついて。こうやって腐れ縁みたいに、毎日のように一緒にいる。こんなことがいまの内藤にできるのか?」
11・20高崎大会の試合後、小島は内藤に対して思いの丈を一気にまくし立てた。天山もリング上で「内藤よ! トランキーロやな」と挑発。これに対して内藤は「テンコジに負けたことは素直に悔しい」と珍しく悔しさを露わにした。内藤はパートナーをXと発表し、開幕戦でロス・インゴベルナブレスのオリジナルメンバーである、メキシコCMLLの大物ルーシュをパートナーとして招聘。棚橋&ロビンソン相手に完勝した後だっただけに、2戦目にしてベテランのテンコジに足を引っ張られたのは想定外だったのではないだろうか。
11・23愛知大会で棚橋&ロビンソンを破った後には「何で勝てているのかわからない」と小島がコメントしていたが、今年の参加チームに限らず、新日本プロレスの歴史を振り返っても、テンコジはタッグとして最長のキャリアを誇っている。小島の言葉を借りるなら「仏」の域に達していてもおかしくない。
この記事を執筆している時点で、公式戦はまだ残り4試合残しており、3連勝からの4連敗という可能性も考えられるが、開幕戦で現IWGPタッグ王者組を破った事実は残る。過去、同王座を5回戴冠という最多記録を持っているテンコジだが、2013年11月、K・E・S・(ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.)に王座を明け渡したのを最後にIWGPタッグ戦線からは遠ざかっている。その間、NWA世界タッグ王座は奪取しているが、テンコジの代名詞といえばIWGPタッグ王座である。
「仏ってる」今なら6度目の戴冠も夢ではないはずだ。テンコジにとっては久々に訪れたIWGPタッグ戦線復帰のチャンスを逃さないでほしい。
(どら増田)
【新日Times VOL.45】