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「西田隆維の映画今昔物語」 第10幕 もっともあぶない刑事

 《今日のテーマ》「ダンディ+セクシー」

 『あぶない刑事』シリーズは、言わずと知れたコメディータッチのアクション刑事物語です。

 今回、ピックアップした作品は1989年4月に公開された「アブデカ」シリーズの劇場版『もっともあぶない刑事』です。今作も舘ひろしさん演じる「ダンディ鷹山(鷹山刑事)」と柴田恭平さん扮する「セクシー大下(大下刑事)」が大暴れ。セクシー大下の華麗なステップに、ダンディ鷹山のキザなセリフが、絶妙です。さらに二人が放つ多彩なジョークはもはや刑事ドラマの域を超え、ギャグドラマと言っても過言ではありません。
 さて、話の設定は、15年前の殺人容疑者を時効成立前に追い詰めるものの、捜査が難航。その背景には暴力団「銀星会」組長と神奈川県警・警備局長の癒着があり、事件の「黒幕」は殺人容疑者ではなく、組長と警備局長の指示によるものだと、鷹山と大下は気づきます。つまり、殺人容疑者は組長と警備局長に踊らされただけで、真犯人は「組長と警備局長」であると二人は確信したのです。事件のもみ消しを図る組長は鷹山と大下にプロの殺し屋を飛ばします。そればかりか組長は鷹山、大下の“クビ”に懸賞金5000万円を懸け、街中のチンピラに「タカ&ユージ」を狙撃させようと画策します。
 組長と同様、警備局長も影で二人の捜査を妨害し続け、これに「タカ&ユージ」は気づきます。二人は殺人容疑者を発見し、拘束に成功しますが、このまま警備局長の在籍する神奈川県警(本庁)に容疑者を引き渡すのは得策ではないと考えます。鷹山、大下は容疑者を時効まで匿い(時効)成立後、暴力団と警備局長の癒着を暴く事を考えたのです。それには「無罪」になった「殺人容疑者」の証言が不可欠。彼に証言させるためには、多少、捜査の脱線は(実際はかなり大きく逸脱していますが)已む無しと思い、本庁の捜査と対峙するのです。…とこれが、一連のストーリーです。

 このように「真面目」な話しですが、映像の端々に二人を中心としたギャグがてんこ盛り。圧巻なのは、舘さんと柴田さんが当時、出演していたCMでのやり取り。舘さんは『ポカリスウェット』(大塚製薬)柴田さんは『ポッカコーヒー』(ポッカ)に出演していたのですが、映画ではチンピラから狙われながらも自身のCM製品である「ポカリ」や「ポッカ」を飲みながら「俺達運が良いから…」と難なくクリア。この「アドリブ」は、感動すら覚えました。
 後、僕の中で気に入っている「名場面」は愛弟子の町田透(仲村トオル)を“利用”する場面です。「タカ&ユージ」は面倒な作業を実行する際、必ず透を呼び出し、こう言います。
 「今度女紹介するからさ〜」
 恐ろしい事に透は、半信半疑ながらも結果、二人の言い伝えを守り、行動を起こしてしまう命知らずな刑事です。もっとも、その透自身も困った時は友達に「今度女紹介するからさ」と、言い仲間を動かすとんでもない輩ですが…。
 まあ、先輩の意思をきちんと受け継いでいる透はさすが一番弟子! そして、アブデカ名物の「キザゼリフ」ですが、今作も特筆モノです。

 「良い女をつける(尾行)時ほど楽しい仕事はない」(鷹山)
 「それが(最上級の)良い女ほど楽しくなる」(大下)
 このセリフ、「二人のキャラ」だからこそ真面目に言ってもサマになり、これを私自身が言ってしまったどうなる事でしょう−−。
 「あいつ、キモイ(もしくはウザい)」「(あいつ)勘違いしているんじゃないの?」
 −−などなど、相当な非難を覚悟の上での発言となってしまいます。

 最後になりますが、憧れの強い私は大学3年の時、北海道・真駒内で行われたハーフマラソンに優勝した際、スポーツ紙の取材に以下の発言をしたのです。
 「将来の夢は俳優。好きな俳優は舘ひろしさん」
 勿論、当時、カラオケの十八番は『冷たい太陽』(『あぶない刑事』のエンディングテーマ)。高校時代まで遡れば、『あぶない刑事』のエンディングで映し出されていた鷹山と大下のコミカルな走り方(実際はテープの早送りですが)を高校時代のトレーニング中に真似しておりました。ただ、いざ大会で実戦したところ、やはり余裕が無く、うまく行かなかった為「お蔵入り」させました。
 そして現役を引退した昨年、ユージもとい柴田恭平さんが得意とするタップダンスを習い始めたのですが…こちらも「お蔵入り」に近い、挫折中です。弟子になる為には、まだまだ「道のり」は遠く長いです。

『もっともあぶない刑事』
監督 村川透
脚本 柏原寛司
《主なキャスト》
舘ひろし、柴田恭平、仲村トオル、
浅野温子、中条静夫、木の実ナナ、
ベンガル、山西道広
柄本明、芥正彦

<プロフィール>
 西田隆維【にしだ たかゆき】 1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
 陸上超距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。
 09年2月、現役を引退、俳優に転向する。10年5月、舞台『夢二』(もじろう役)でデビュー。ランニングチーム『Air Run Tokyo』のコーチも務めている。

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