「ここ1、2週間はとくにそうですよ。5月は15日までの間、5度もスタメンを外されています」(現地特派員の1人)
メジャーリーグでは長丁場のペナントレースを乗り切るため、レギュラー選手にも定期的に「休日」を与えている。気温の低い春先には、怪我防止でベテランや故障歴のある選手を外すケースもある。松井も4月に3度、“リフレッシュ休暇”を頂戴したが、5月は15日までの半月間で5度もスタメンを外されてしまった。ここまで来ると、「休暇」ではなく、「レギュラー落ち」と見るべきかもしれない。
ボブ・ゲレン監督、ビリー・ビーンGMとも、「好機に強いバッター。今は波に乗りきれないでいるだけ」「誰にでも(成績の)アップダウンはある」とコメントしている。独特の選手評価論とクールな性格で知られる同GMは、「社交辞令は言わない」(米メディア陣の1人)そうだ。その通りだとすれば、松井のベンチスタートには、どんな意味があるのだろうか。
35試合を消化した時点での松井の成績は、打率2割3分4厘、本塁打3、打点15。指名打者としては明らかに物足りない数値だ…。
「ゲレン監督は対戦投手が右か左かによって、打順を少しだが代えていくタイプです。松井は昨季、左投手との対戦成績が良くありませんでした。加えて、他選手が好調だったので、松井が外されたのではないでしょうか」(前出・同)
社交辞令は言わない首脳陣の性格、打撃好調な選手が他にいたから−−。そういった情報から考えると、松井がアスレチックスで冷遇されているとは言い切れないが、松井の性格を知る巨人関係者の見方は少し違う。松井は不器用なタイプだと言うのだ。
「出場機会を保証して、初めて本領を発揮するタイプです。『失敗を次にいかすタイプ』。だから、試合に出さないと活躍できない選手でもあるんです」
松井は試合終盤に代打起用されるケースもあるが、1打席では『失敗』を修正しきれないだろう。アスレチックスはスタメンで使わなければ進化しない松井のクセを知っているのだろうか。もっとも、レギュラーは与えられるものではなく、奪うもの。松井は奮起しなければ事態は好転しない。アスレチックスはベテランよりも若手育成を重視するチームであり、見切りをつけるのも早い。シーズン途中でも主力選手をトレード放出しており、松井は少ないチャンスのなかで試されているのかもしれない。シーズン前から懸念されてきたことだが、チームが優勝圏内から脱落すれば、松井は放出の憂き目にも遭うだろう。