突如遭遇したアクシデントで地下にある相席ラウンジに閉じ込められてしまった男女4組と店員たちの人間模様を描く本舞台。演出を渋谷悠が手がけ、堤下本人も堤下アツシ名義で出演するほか、後藤萌咲、倉田瑠夏、田中尚樹、真下玲奈、脇春、土井良祐、保土田充、長瀬貴博、小野弘喜、平館真生、大村仁望ら個性的なキャストが多数出演する。
堤下にとっては謹慎騒動復帰後の注目の作品でもあり、今後の活動の動向などにも注目が集まる。公演を前に堤下と演出の渋谷を直撃して話を聞いて来た。
—— 堤下さんは今回の舞台でプロデューサーとして具体的にどんな分野で携わっているのでしょう?
堤下:全部に関わっています。キャストをお願いするのも、演出に渋谷さんを選んだのも僕。会場も自分で選びました。
渋谷:名前だけのプロデューサーではないです。このタイトルなんかも堤下さんが選んだもの。多方面で目を配ってくれました。
—— 渋谷さんと堤下さんはどのような経緯で今回タッグを組むことになったのでしょう。
堤下:前回出させてもらった短編映画『ルーツ』で監督をしてくださっていたのが渋谷さんなんです。今回、大村をキャスティングするにあたって、演出家をちゃんとつけたくて、
僕の中で彼女と一番合わないであろう演出家、ちゃんと言い合えるであろう演出家、彼女より経験値のある演出家ということで渋谷さんを選んだんです。
—— 今回の作品は演劇。お笑いではなく、演劇というフィールドを選んだのはなぜですか。
堤下:もともと僕は演劇もずっとやって来たんです。何年もやっています。ファンの人も僕が一人で舞台に出る状況には慣れていると思います。自分の可能性を広げる活動として演劇にも取り組んで来たんです。自分の活動が広がれば演劇でも配信でも、どんな表現でもいいと思っているので。つまり僕はお笑い芸人でもあるし、配信の堤下でもあるし役者の堤下でもある。そういうことです。どんなパイでも良いと思ってやっていますから。それで今回は演劇なんです。
—— 今回の舞台では普段堤下さんが見せる“お笑いの堤下”とはまた違った世界を見せてもらえるということですね。例えばそこで見せる笑いの質なんかも違ったものがあるということですね。
堤下:変な話ですけど、演劇の笑いは役者の方がうまいんです。僕らお笑い芸人なので、お笑いの舞台に役者さんが上がって来て役者さんを面白くすることはできるけど、役者さんの芝居とかで三枚目として自分たちがキャスティングされて出て行くと、役者さんの方が明らかに面白いって実感するんです。僕らは笑いを作り上げる作業が得意、役者さんは作り上げられたものを演じて笑いを取るのがうまい。そう考えて今回、お笑い芸人はキャスティングしなかった。堤下の舞台なのに、このキャスト、このビジュアル、どうなっているのっていう見る側の違和感をぶっ壊すところが今回の僕の楽しみです。そこが一番の見所じゃないかって。
渋谷:見る人もお笑いの人がプロデュースしているから、きっと笑える作品になっているに違いないと先入観が働くと思うんですけど、まずそことどう遊ぶかって戦略も立てたんです。タイトルやビジュアルを見ると、ちょっとそういう路線とは違うだろうなっていうのは予感させています。どっちかというとシリアス寄りだろうって思って来てもらって、思ったよりも笑いがあったというのが落としどころではないかと。
—— マドンナ的存在として後藤萌咲(元AKB48)、倉田瑠夏(元アイドリング!!!)がいます。彼女らにはどんな期待を持っているんでしょう。
堤下:瑠夏ちゃんは芝居の経験も豊富。上手で勘の良い方ですけど、後藤萌咲ちゃんはある種未経験者。そういうほぼ未経験者なキャストが何人かいるということで周囲が頑張らないといけないって状況が生まれたらいいなと思っています。
渋谷:本気でやっている、本気で動いている間に次が見える。本気でやらなきゃいけない外堀のようなものを堤下さんは作ってくれたと思います。同じ船に乗っかったからこの先どうなるかも、これをやりながら見えてきそうです。キャスト、設定一つとってもどうなるか分からない。これを作ることでもう少し自分のことが分かるようになるかもしれないと期待しています。
—— お笑い芸人堤下さんとしては今後どう活動されていくんでしょう。
堤下:そもそもお笑い芸人が演劇プロデュースしたりして、そういうことがめちゃくちゃ面白いなって思っているんです。周囲にもそう感じてもらえるようになっていきたいです。あいつ、面白いことしているなって思われる人間になりたいということです。なんだよ、お笑いやれよっていう人もいるかもしれないですけどね。
渋谷:お笑い芸人はお笑いをとか、もうそんな時代じゃないということなんです。枠をどう壊せるかが芸人の面白さになって来ている時代だということです。この人が次何やるのかっていうのが面白いと思えることだと僕は思っています。
堤下:僕が次、船の船長とかをやっていたら面白いでしょう。お笑いをやりつつ、こういう活動をしても全然良いと思うんです。ぜひ僕の今後の活動に注目してみてください。
『愛害〜12の本性〜』
■プロデューサー:堤下アツシ
■作:大村仁望 ■演出:渋谷悠
■出演(50音順):
後藤萌咲、倉田瑠夏、田中尚樹、真下玲奈、脇春、土井良祐、
保土田充、長瀬貴博、小野弘喜、平舘真生、大村仁望、堤下アツシ
【公演スケジュール】
11月08日 (金)〜11月10日 (日)の全5公演
<チケットのご予約・お問合せ>
チケットよしもと予約問合せダイヤル 0570-550-100
(取材・文:名鹿祥史)