6月27日〜7月7日に下北沢・本多劇場で、7月13〜15日にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールでそれぞれ開催された公演を収録した本作。全国行脚中のライブ『モノクロ』の合間に行われた同単独ライブには、彼らのファンでもある芸能人や文化人も多く駆けつけ、大盛況のうちに幕を閉じた。今回、シソンヌにインタビューを実施。単独ライブのことはもちろん、ネタ作りについても詳しく聞いた。
ーー今回のインタビューは、オーディオコメンタリーの収録後に行われていますが、改めて映像でご覧になっていかがですか?
じろう:カメラがいつもより多かったので、今まで見たことのないアングルもありましたし、いつものDVDより凝っている感じがしましたね。今っぽい、時代に沿ったネタもありつつ、どこかで似たような境遇の人がいると思うので、その人に届けばいいなって思っています。
長谷川:お互い年も取って(ネタにするような)境遇の人の話を聞くことも増えたので、それがコントに反映できているならいいなと。自分たちではないにしろ「こういうこともあるんだな」っていう味が出てきたらうれしいし、今回それができているんじゃないかなって思います。
ーーじろうさんがネタ作りをされていますが、作り方や発想も含めて、年齢を重ねて変化を感じるところはありますか?
長谷川:元は変わってないよな。じろうの好きなものも変わっていないし。
じろう:でも、昔みたいなお笑いっぽい作り方ができなくなりましたね。コンテストを意識したネタをどう書いていたのか分からなくなっちゃって……。「もういいのかな?」っていうのもありますし、たまに思いついたらやるくらいです。“実際にいそうな人間”をどう面白くするか? っていうのが、自分の中で楽しくなっているので、(必然的に)そっちの方が増えちゃいましたね。
ーー東野幸治さんがお二人を好きで、よく話題にしたり、シソンヌさんのYouTubeにも期間限定配信で出演していました。今回の公演で何か言われましたか?
じろう:いつも見てすぐに帰っちゃうんですよ。でも今回、あんまり東野さんにハマってなかったのかなって思います(笑)。東野さんは笑い声が目立つので、どの箇所を笑ってくれていたかは分かるんですけど………。だから次回、来ていただけるか不安ですね。次回来なかったら飽きられたってことです(笑)。
ーーなぜ、そう思うんですか?
じろう:いつもTwitterに書いてくれるんですよ。これとこれが好きだったとか。今回はなかった気がしたなぁ。
(スタッフが確認するとInstagramに感想が書かれていた)
長谷川:書いてくれているって! よかった〜。
ーー芸能人やテレビ関係者などいろんな方が見に来てくれたそうですが、どんな感想がありましたか?
じろう:佐久間 (宣行)さん(テレビ東京プロデューサー)がコント『野村くん、登校する』を見て「ちょっと泣いちゃった」っておっしゃっていました。
長谷川:佐久間さんは、いい意味で社会になじめていない人の話が好きらしくて。「いつも上手にするよな」っておっしゃいます。野村くん自体は愛されキャラで僕もカワイイと思いますね。
じろう:柄本佑さんが「(長谷川がコントで演じた)バーテンダーの所作がすごく良かった」って。
長谷川:ありがたいですね。一人でも見てくれている方がいるのが分かると、頑張ったかいがあります。
じろう:僕が洋食屋の店主役で、米をよそう動きをするくだりがあるんですけど、佑さんはあそこに(あるはずのない)ジャーがあると思ったらしくて(笑)、深く動きとかを見てくれているんだと思います。
長谷川:(映画監督の)大根(仁)さんも来てくれて「バカなことやってるね。面白かったよ」って言ってくれました。
じろう:きたろうさん(シティボーイズ)もひとつのコントを勝手に『ニューヨーク』って名付けていました(笑)。
ーーシソンヌさんはドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)など、役者業もされていますよね。
じろう:ドラマに呼んでもらいますけど、いまだにどういたらいいか分からないよね? 軸は芸人にあるので、(現場でも)芸人としています。
長谷川:「笑いをとった方がいいのかな?」って思うんですけど、でもなぁ?
じろう:お芝居に関しては、まだやり方がつかめていないですね……。
長谷川:僕はコントで普通の人をやることが多いので、(フリの部分で)丁寧にやることにどんどん抵抗がなくなっています。ドラマからもらってくるものは多いんですけど、こちらからドラマに与えているものは一個もないんじゃないかって(笑)。
ーー単独ライブの監修に、バナナマンさんや東京03さんらとタッグを組んでいる放送作家のオークラさんが数回前から入っていますが、今回はどんなことを言われましたか?
じろう:実は僕らがライブをやる時、03さんやバナナマンさんの単独ライブと時期が被っちゃうので、少しお話を聞くくらいで、そんなにガッツリは関わってもらってないんです。でも、オークラさんは「シソンヌのところに名前を入れてもらうと俺が得するから入れといていいよ」っておっしゃって。
長谷川:「逆にありがたいよ」って言われて(笑)。(数年前の)まだ時期が被らない時は「こうした方がいい」とか、じろうが今まで意識していなかったことを教えてもらっていたような気がします。
じろう:(アドバイスを通じて)コント一本を通しての“波”みたいなものを意識するようになりましたね。
ーー年間通して全国行脚ライブを回りつつ、合間に今回の単独ライブも行ったシソンヌさんですが、こうした活動は若手の方がうらやましがらないですか?
じろう:後輩に限らず、先輩にもライブのことをすごく聞かれます。ジャルジャルさんからも「どういうふうにしているの?」とか、パッケージを聞かれましたね。正直、疲れる時もあるんですけど、たまに先輩にほめていただけると「俺たちがやっていることって間違ってないんだな」って気付かされます。
長谷川:(千原)ジュニアさんからも「全国回って、1カ月単独ライブもあって……お前ら頭おかしいんか!」って言われたもんな。これってほめ言葉じゃないですか。あと、フットボールアワーの後藤(輝基)さんから「大変やろ? 偉いなぁ」とか、南海キャンディーズの山里(亮太)さんも高知公演で時期が被った時に差し入れしてくださって、戦友として認めてくれるんだなって。こういうことがあるとやっていてよかったと思います。
■タイトル:シソンヌライブ[huit]
発売日:2019年10月30日(水)
価格: 3,000円+税
■LIVE「シソンヌライブ[モノクロ]2019」
11月2日(土)〜12月26日(木)
料金:前売2500円 / 当日2800円
※12月26日(木)の東京凱旋公演はライブビューイング・ディレイビューング(1/3)あり
https://liveviewing.jp/sissonne/
問合せ:チケットよしもと 0570-550-100 (朝10:00〜夜7:00)
http://goo.gl/ke3pel
(取材・文:浜瀬将樹)