このシリーズには、世間的にはボキャブラ芸人と思われていない意外な芸人も出演していた。ボキャブラブームが本格化するのは、1996年10月に初期の視聴者投稿コーナーから、『タモリの超ボキャブラ天国』として若手芸人オンリーにリニューアルして以降である。その後、半年後の1997年4月に日曜深夜に移った『新ボキャブラ天国』、再び半年後の1997年10月にゴールデンタイムに戻り谷村新司を司会に迎えた『黄金ボキャブラ天国』あたりまでが絶頂期と言える。その後も半年ごとにリニューアルして行くが、徐々に人気に陰りが見えて、1999年4月スタートの『歌うボキャブラ天国』でレギュラー放送が終了する。ボキャブラブームは、実質的には3年ほどしか続なかった。末期とも言える1998~99年ごろに出演していた芸人には、ボキャブラのイメージはそれほどないが、誰が出演していたのか。
まず、挙げられるのは野性爆弾だろう。1998年夏ごろから出始めた。川島邦裕(現・くっきー!)の強烈な個性は、当時から存分に生かされており、「高木美保の下アゴ」などの小道具も持参していていた。当時、共演していた元U-turnの土田晃之は、彼らのアクが強すぎるため、「こいつら絶対売れねぇわ」と思っていたという。事実、くっきー!のブレークまでは20年を要した。
おぎやはぎも1999年の1月に初登場するも、新人芸人の一組として出ており、今で言うガヤ芸人扱いだった。当時はまったく無名であり、メガネキャラやシュールなネタも注目されていない。そんな地味な彼らが、番組出演後にブレークを果たしたのは、かなり珍しいケースとも言えそうだ。
山口智充も、99年春から登場しマニアックなものまねで活躍していた。すでにコンビのDonDokoDonとしては何度か出演していたが目立てず、ぐっさんソロの出演となった。後に、2000年10月スタート『エブナイ』(同)で本格的なブレークを果たすだけに、ブレーク直前の助走期間といったところだろう。
このほか、ベース漫談のはなわ、「なんでだろう」のテツandトモなども同時期に出演しており、2000年代に活躍する芸人の無名時代が見られるのが、末期『ボキャブラ』シリーズとも言えそうだ。