すでにポスティングでのメジャー行きが正式に決まり、入札が始まったかのような騒ぎになっている。が、米メディアは極めて冷たい反応を示している。米スポーツ専門局ESPNは「西岡は92マイル(約148キロ)より速い球は苦手だし、遊撃を守るのは厳しい」ときっぱりと断言している。
日本球界を代表する遊撃手だった西武の松井稼頭央が、「ゴジラ松井」の向こうを張って「今度はリトル松井」と大騒ぎされ、鳴り物入りでメジャーへFA移籍したが、結果的には遊撃手失格。メジャーでは二塁手に転向。メッツ、ロッキーズ、アストロズと渡り歩いたが、期待を裏切る成績しか残していない。現在、日本球界復帰へ向け、水面下で動いている。
ヤクルト時代は三塁手だった岩村明憲も、メジャー入り後は二塁手に転向。レイズ時代は一時期大活躍したものの、パイレーツでは鳴かず飛ばずで、今季終盤はアスレチックスに移籍したが、解雇されている。松井稼同様に、来季は日本球界復帰の道を探っているのが現実だ。
「打球の転がりが速い人工芝と違って天然芝は打球のスピードが落ちる。それだけに、内野手は抜群の肩の強さと守備範囲の広さを要求される。日本人には難しいポジションだ」というのが、日米球界では定説になってきている。米メディアが西岡に対し、シビアな味方をするのも仕方ないだろう。
前出のESPNは「イチローのようなスイングをするが、スピードはイチローほどではない」とまで言い放っている。イチローのコピーにすぎず、本物のイチローとは違うと断定しているのだ。他のメディアも「イチローのような選手はイチローだけということだ」と、第二のイチローはいないことを強調している。
「若いときに行って、日本人の価値を高めたい」と、西岡本人はもちろん志が高いが、イチローを引き合いに出されては、白旗を揚げるしかいないだろう。「イチローのような選手はイチローだけ」というのは、金言だ。西岡はイチロー・チルドレンという位置づけになるだろう。
実は、イチロー・チルドレンのメジャー挑戦は、西岡だけではない。西武・中島裕之も今オフのポスティングシステムでのメジャー入りを要望しながら、後藤オーナーが「認めない」と断を下し、一騒動起こっている。が、今オフは無理でも、来オフには再燃するだろう。
「イチローさんと同じチームでやりたい」と、自分で球団を選択できる海外FAの権利を取得する来オフに照準を絞っているのは、ソフトバンク・川崎宗則だ。中島も川崎も西岡と同じ遊撃手だ。実際に西岡がどの程度、メジャーで成績を残せるのか。米メディアがダメ出しした結果に終わるのか。松井稼が超えられなかったハードルをクリアできるのか。西岡の一挙手一投足を、中島、川崎も注視することになる。