オリックス 5-0 DeNA(2回戦)
※オリックスの1勝1敗
▽5日 京セラドーム大阪 観衆 17,797人
「OH OH OH OH OH…♪」
欅坂46の『ガラスを割れ!』が京セラドーム大阪に鳴り響くと、1塁側ベンチ前でキャッチボールをしていたオリックス先発、田嶋大樹が今シーズン初の1軍マウンドに向かった。ルーキーイヤーは6勝を挙げ、新人賞の有力候補だった田嶋だが、昨年6月27日に左肘の違和感から登録抹消されると、昨シーズンはそのまま登板することなく終わってしまった。今年の春季キャンプでは慎重に調整が進められ開幕は2軍スタート。ファームでは6試合に登板、1勝3敗、防御率は3.52の成績で、5月30日から1軍に帯同しながら今回の先発に備えた。
田嶋は5回0/3を86球、4安打、3三振の好投を披露し、最近沈黙が続いていた打線も田嶋の好投に応えるかのように、10安打5打点と奮起。リリーフ陣も完封リレーでオリックスがDeNAに勝利。対戦成績を1勝1敗のイーブンにするとともに、チームの連敗も引き分けを挟み 「5」でストップさせている。
「1軍で投げるのは楽しみよりも不安の方が大きい」
今シーズン初登板、初先発に対する思いについて、「不安」という言葉を口にしていた田嶋だが、「緊張するかなと思ったけど、緊張しないで入っていけた」と試合後に振り返ると、ヒーローインタビューで「野球を楽しむという基本に戻れたのが良かった」と語った真意について、「去年まで“やらなきゃいけない”野球をしてたんですけど、怪我をしたことで原点に戻れたんですよ。今年になって投げられるようになるにつれ野球が楽しくなってきた。野球をやり始めた小学生の頃まで気持ちが戻れましたね」と、常に“エース”として走り続けたが故に忘れていた心を取り戻すことが出来たようだ。ちなみにこの試合では、4回にDeNAの主砲、筒香嘉智にセンター前へ運ばれランナーを背負った時に、「オレ、ピッチャーやってるんだなと実感して楽しかった」という。
「思っている以上に、僕のユニフォームを着たり、タオルを掲げてくれたりして、『田嶋お帰り!』という声も聞こえた。正直、鳥肌が立ちましたね。もっとファンの皆さんのためにと、より一層思いました」
久々にヒーローインタビューに立った田嶋を待っていたファンは多く、田嶋目当てに来場したファンも少なくない。そんなファンの思いは田嶋にしっかりと届いていた。
「感謝しかない。1人の力では1軍のマウンドに立つことは出来なかったし、1軍で投げられるのが当たり前じゃないことがわかりました。支えてくれた皆さんに感謝したい」
ヒーローインタビューと会見で、田嶋は「感謝」と「楽しい」という言葉を何度も使った。「やりたい野球が出来ている」という田嶋に、試合後、西村徳文監督は「見事なピッチング」と笑顔を見せ、「予定通り」1度抹消し、1軍に帯同させる意向を明らかにしている。交流戦中に次回の登板が見られそうだ。
取材・文・写真 / どら増田